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コラム vol.184
  • 不動産市況を読み解く

(2)金融機関の賃貸住宅向け融資(アパートローン)は過熱気味なのか?

公開日:2016/12/22

土地を所有する方が賃貸住宅等を建てる際に建築資金(その他付帯施設含む)を融資するのが、アパートローンと呼ばれるものだ。土地活用を行う多くの方が、各種金融機関を通じて利用されるローンのことだ。
金融機関関係者と話していると、どうも、12月に入り審査が厳しくなっているようだ。また、メディアでも土曜の報道が見られはじめている。日経新聞2016年12月14日朝刊の見出しには、「アパート融資、過熱警戒。金融庁、節税効果などを調査」とあった。

日銀のデータによると、2016年9月末時点の、主にアパートローンと思われる「個人による貸家業」の貸出残高(国内銀行、銀行勘定ベース)では、22兆76億円となっており、2015年の春先から急に伸びているのが実態だ。
建築数でこれを検証すると、確かに新築住宅着工戸数の貸家も2015年は前年対比プラス4.6%(37.8万戸)、2016年は、前年対比10.9%(10月末データ)となってリーマンショック後では最も多く建てられている。

銀行、特に地方銀行や信用金庫などは、優良貸出先の減少にともなう融資の伸び悩みに加え、マイナス金利の影響で収益環境が悪化している中、数少ない健全な貸出先としてのアパートローンに力を入れている現状が見え隠れする。こうした状況下で、冒頭に書いたように、金融庁が警鐘を鳴らしているということにつながっていくのだろう。

アパートローンは土地活用として賃貸用物件を建てる際の建築費用の融資を受けるもので、ローン借り主(オーナー)は、賃料収入をローンの返済原資とするのが一般的なパターンだ。賃料収入が返済額を下回ると、例え節税につながるとしても、マイナス分は持ち出しとなってしまう。金融庁はこうしたオーナー負担が大きくなることを未然に防ぎたいという意向だ。 逆に、懸念されるのは、健全な収支計画を立てている融資申し込みについても、金融機関による急な融資意欲減退に巻き込まれないかということだ。

何度も述べているように、賃貸経営においては、賃貸需要が一定水準以上保つことが予想される場所に適切な賃料設定を行うことが必須だ。そのうえで、無理のない収支計画を立てる。そうすることで、その計画に沿ってアパートローンの返済を滞りなく行うことができる。この当たり前のことを行えば、大きな問題とはならない。ますます、このような無理のない提案を行うメーカーに依頼することが求められるだろう。

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土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト 1971年生まれ。
早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学博士前期課程修了。
船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estateビジネスチーム責任者 兼 基礎研究チーム責任者を経て、(株)ディー・サイン 取締役 不動産研究所 所長。
不動産・住宅関連分野が専門領域で、企業向けコンサルテーション、データ分析、市場予測などを行う。また、不動産エコノミストとして、不動産・住宅に関する講演を多数行う。

著書:『大激変 2020年の住宅・不動産市場』『「消費マンション」を買う人「資産マンション」を選べる人』など9冊。定期連載:「ダイヤモンド(Web版)」など多数。

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