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コラム vol.212
  • 土地活用税務コラム

続:使用貸借と賃貸借の違いは何か

公開日:2017/07/20

POINT!

・賃貸借と使用貸借の基本的な違いは、対価を払うか、無償でなされるかどうか

・使用貸借は地代は無償だが、相続税評価額には注意が必要

土地を他人である第三者から借りて、その土地の上に収益物件を建てるケース(賃貸借)と土地を親などの親族から無償で借りて、その土地の上に収益物件を建てるケース(使用貸借)に分けて、その違いを紹介します。
「使用貸借」とは、物の利用に関する契約の1つの形態で、他の者が所有している物を使用する点では「賃貸借」と同一です。
しかし、賃貸借との違いは、その使用が対価を伴わず、無償でなされる点にあります。

土地を他人である第三者(地主)から借りて、その土地の上に収益物件を建てるケース(賃貸借)

このような賃貸借のケースは、土地を購入する所有権の物件に比べて、利回りが高くなるのが一般的です。便利な立地にある物件も多く、融資が付き条件が合うなら投資対象としては持ってこいだと思います。
もちろん、土地を借りているので、毎月地主に対しては地代を支払います。借地契約書に地代の金額が〇〇〇円と記載されている場合もあれば、固定資産税の何倍と表記されている場合もあります。一般的な金額は固定資産税の3倍程度ですが、これも契約によってまちまちです。
そもそも借地権とは、わかりやすくいうと「土地は取得せず地主から借りて、その上に建物を建てて使用できる権利」のことです。登記できるのは建物だけで、売買する場合は地主の許可を得る必要があります。
一方で、このような借地物件には、デメリットもあります。まず、所有権に比べて融資が受けにくく流動性に欠けるということです。ただし、逆にいえば、融資が受けづらいからこそ競合が少なく、利回りが高くなるとも考えられます。
融資を受けるには、地主から「承諾書」に判を押してもらうことが条件になります。承諾書の内容は、「地代の滞納があった場合には金融機関に通知しなければならない」というものです。地代が滞納された場合に、いきなり借地契約を解除されてしまっては、金融機関としては担保を失ってしまうので、それを避けるためのものです。この承諾書に土地の所有者が捺印し、金融機関に提出します。しかし、地主の中には絶対に「承諾書」には判を押さないという人もいるので早めに確認することをお勧めします。
土地は自分の名義にはならず、建物だけの所有とはいえ、投資スタイルとしては面白いと思います。
この賃貸借のケースにおける金銭の流れですが、借地権部分に対しては権利金を払い、底地部分について地代を払うイメージです。

賃貸借
借地人 地主
設定時 借地権としての対価を支払います 権利金として対価をもらいます
貸借中 底地の使用料である地代を支払います 地代を受け取ります
解消時 立退料とし対価をもらいます 立退料を支払います

土地を親などの親族から無償で借りて、その土地の上に収益物件を建てるケース(使用貸借)

このケースの場合も、土地の購入資金が必要ないため利回りが高くなるのが一般的です。
土地は借りていますが無償なので、地代の支払いはありません。
この使用貸借のケースにおける金銭の流れですが、次の図のとおりになります。

賃貸借
借地人 地主
設定時 固定資産を購入するための対価(権利金)の授受は行われない
貸借中 底地の使用料である地代の授受は行われない
解消時 固定資産の買い戻すための対価(立退料)の授受は行われない

使用貸借をしている場合、覚えておいた方がよいことがあります。
それは、その使用貸借に係る土地について相続等による財産の移転があった場合のその土地の相続税評価額です。
たとえば、父所有の宅地を子が使用貸借により借り受け、子がその上に収益物件を建てた場合は次のようになります。

親子間の使用貸借

  1. (1)父が死亡した場合の土地の相続税評価額 ⇒ 子が所有する建物の使途に関わらず、自用地評価
  2. (2)子が死亡した場合の土地の相続税評価額 ⇒ 宅地の上に存する権利はゼロということで相続財産は家屋だけになります。

このようにまったく課税関係が変わることを覚えておいてください。

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