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コラム vol.387
  • 不動産市況を読み解く

賃貸住宅における繰り上げ返済は行うべきか?

公開日:2022/02/28

メガバンクの住宅ローン金利引き上げ

大手メガバンクの住宅ローン(10年固定もの)の金利が、2022年2月1日実行分から引き上げられました。たとえば三井住友銀行で固定金利特約期間10年を選んだ場合、この10年間に適用される金利は、1月適用分の年3.40%から0.10%高い、年3.50%になります。これは他の大手銀行もおおむね同じような上げ幅で、三菱UFJ銀行では年3.39%だったものが年3.49%に、みずほ銀行が年2.75%だったのが年2.8%に引き上げられました。
(注:ここでの金利の数字は店頭金利です。大和ハウス工業がご紹介する場合は優遇金利が適用され、市況により異なりますが、この店頭金利から一定の%分引かれた金利が適用されます。詳細は担当者までお問い合わせください。)

住宅ローン金利の近年の動き

この金利水準がいつ以来なのかを、時系列で住宅ローン金利の推移を公表している三井住友銀行のWebサイトを見てみます。10年固定金利が3.50%になったのは、2015年8月以来です。金利の推移をたどっていくと、この時点から徐々に低下していき、2017年2月には2.95%まで下がりました。これが直近では金利の底で、その後はしばらく3.20~3.40%で推移し、2020年3月にはコロナ禍の影響で一層の金融緩和に転じたため3.15%まで低下しました。そこから徐々に住宅ローン金利は上昇に転じ、2022年2月適用分から3.50%になったという流れです。
すでに報道などでご存知だと思いますが、アメリカでは住宅ローン金利が大きく上昇しています。22年に入り米国の住宅ローン金利は上昇しています。ほぼ毎週ごとに住宅ローン金利は上昇し、1月の1か月で約0.5%の金利上昇になりました。日本においては、冒頭に述べた程度の上昇に留まっていますが、まだ「金利上昇のキザシが見え始めた」という状況で、このまま上昇を続けるかどうかは不透明です。

金利上昇局面に備えて

これから住宅や賃貸住宅を建設しようと考えている方、また、すでに住宅や賃貸住宅を建築し、変動金利でローンを組んでいる方などは金利の動きが気になるところです。
既に借り入れをされている方、その中でも変動金利で借りている方は、金利上昇局面になり、「固定金利に変更」することを検討される方も増えてくるものと思われます。

変動金利から固定金利に変更を検討する際には、契約内容をよく読むことをおすすめします。例えば5年間返済額が変わらない通称「5年ルール」が適用されている場合があります。これは、たとえ金利が急上昇しても月々の返済額がその期間変わらないというものです。(注:変わらないのは返済額で、利子分が増え、元金の減りが少なるということです)
こうしたルールが適用されている場合は、固定金利に変更するタイミングに注意が必要です。迷った際は、まず借入をした金融機関に相談をしてください。

固定金利に変更する際、同時に余剰資金や賃貸住宅経営の利益分を使い「借り入れの一部を繰り上げ返済する」と考える方もいます。繰り上げ返済については、その仕組みなどをご存知ではない方もいるようですので、以下で解説しておきます。

繰り上げ返済の仕組み

繰り上げ返済とは、毎月の返済額とは別に一定のまとまった金額を前倒し的に返済することです。返済額は、基本的には元金に充てられますので、この分の利息を払わずにすみ、返済総額が少なくなります。2013年以前の金利が高いころに借りられた方は、利息総額が大きく減ることになります。
一般的な繰り上げ返済では、「返済期間短縮タイプ」と「返済額軽減タイプ」があります。
「返済期間短縮タイプ」では、毎月の返済額に変化はなく、返済期間が当初より短くなるというわけです。返済期間が短くなるため、利息軽減効果が大きくなります。
「返済額軽減タイプ」では、毎月の返済額を減らすことができますが、返済期間は変わりません。一般的に返済期間短縮タイプより、利息軽減効果が小さくなります。

繰り上げ返済のメリットと注意点

繰り上げ返済は、残高が多いほど返済総額が減り、メリットがあります。
また、借入総額が減るわけですから、与信枠が広がることに繋がります。例えば、土地活用としてさらにもう1棟の賃貸住宅建築を考えている方には与信が高まり有利になるでしょう。

一方、注意しておきたい点としては、契約内容によりますが、基本的には繰り上げ返済には手数料がかかります。金融機関としては、手数料の意味合いもありますが、それ以上に大きいのは利息総額が減るわけですから、「得るべき利息が減少し、利益に損害を与えた」として、ペナルティの意味合いが強いと思われます。
また、賃貸住宅経営では、空室リスクや家賃下落リスクがつきものです。こうしたリスクに対応するための余剰資金を繰り上げ返済に回すということになりますので、今後の需要をしっかりと読むことが求められます。

最後に、賃貸住宅経営とは関係ありませんが、自用の住宅での借り入れの繰り上げ返済においては、住宅ローン減税に影響を与えますので、要注意です。

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