3階

重量鉄骨造

木造

3階・4階・5階

重量鉄骨造

木造×RC構造

コンビネーションハウジング(併用住宅)

木質建築事業

注文住宅TOP

  • ダイワハウスの特長
  • 建築事例
  • 暮らし提案
  • 商品
  • 家づくりナビ
戻る
戻る
LiveStyle PARTNER まずはあなたの家づくりタイプを診断する
閉じる

快適に暮らす

特集

和の色を深める

桜色、小豆色、藍色、藤色…日本には四季の彩りと結びついた伝統色があり、
一説には1000色以上も存在すると言われています。
今回は、天然染料で伝統色を再現する京都の染物屋、染司(そめのつかさ)よしおかを訪問。
六代目当主の吉岡更紗(さらさ)さんに染物と伝統色の歴史や魅力、
伝統を受け継ぐことへの想いを伺いました。

歴史や文化とともに広がった、日本の染織の世界

古都の風情が感じられる京都・祇園。閑静な路地の一角に、植物染にこだわり和の色を再現する染物屋があります。創業は江戸時代、200年にわたり染織を受け継ぐ染司よしおか。白く上品なのれんをくぐると、色彩豊かな小物が並び、その色表現の繊細さに驚かされます。

染織の技術は弥生時代に絹とともに中国から伝わり、衣服など人々の生活に近いところで、歴史や文化に関わってきました。たとえば、聖徳太子が制定した日本最古の位制度・冠位十二階では、職階に応じて色の種類や濃淡の違う冠を授けていました。また、平安時代に遣唐使が廃止されてからは、季節感で身に付ける色を決める、日本独自の色選びが流行しました。「染織や色は古代から歴史や文化、人々の暮らしと深く結びついていました。そして、私たちもきっと同じように色とともに生きているのだと思います」。そう話すのは、染司よしおか六代目当主の吉岡更紗さんです。

父に教わったのは目の記憶を鍛えること

吉岡さんの父である先代、吉岡幸雄氏は染織史研究の第一人者であり、古代の染色技術の研究や古寺に保管される文化財の復元に携わっていました。そのかたわらアートディレクターや執筆家、講演家、編集者として精力的に活動。染物や古美術などへの造詣が深く、優れた審美眼を備えていたそうです。

また、化学染料から自然由来の染料に回帰する決断をしたのも吉岡幸雄氏。染色とは古来自然の染料で染めるものでしたが、明治時代に便利な化学染料が登場すると多くの染物屋が天然染料の使用をやめてしまいました。染司よしおかも例にもれず、一時期は化学染料を使用していましたが、氏が豊かな経験と知識をもとに、天然染料による伝統的な和色の再現などに取り組んだのです。

店内にはさまざまな色の小物が並び、天然の色の世界が広がります

吉岡更紗さんが当主を継いだのは2019年。幼少期から四代目である祖父が作業をしている工房に出入りし、染色がいつも身近にあったという吉岡さん。急逝した父の遺志を受け継ぐ決心をしたのは、自然な選択でした。「正倉院の宝物など、時を超えてなお人々を魅了する美に触れ、自分の中でその価値を見極めること。目の記憶が大切だということが父の教えです」

白く上品なのれんが色彩豊かな店内へ誘います

細やかな色の表現を生活に取り入れる

店頭に並ぶ色彩豊かな小物は、すべて京都・伏見にある工房で、吉岡さんや職人の手によって染められています。染料として使うのは、藍、クルミ、紅花といった、『延喜式(えんぎしき)』や『正倉院文書』などの古代法典に記述のある天然由来の素材のみ。使う染料の量、布地を染料に浸ける回数や時間などを微妙に調整しながら、目で記憶した理想の色に少しずつ近づけていくのです。

近年人気の高い緑は単体の染料で染めるのが難しい色で、青の染料となる藍と黄の染料となる刈安(かりやす)などを重ねて繊細な色を表現。一口に緑と言っても濃さや彩度、明るさなど幅があり、色表現の奥深さを見て取れます。

商品としてストールやバッグなどの装飾品や日用品を提供したり、個人や飲食店のオーダーを受けたりするかたわら、ホテルや空港などの建築空間を飾るインスタレーションを依頼されることも増えているそうです。染司よしおかが生み出す日本の伝統色は、社会や暮らしのさまざまな場面を彩っています。

店内に並べられた緑のストール。同じ緑でも染め方によってさまざまな表情を魅せます

店内に飾られた天然染料。同じ材料でも、産地や採れる時期によって染色した際に出る色が少しずつ違っているそうです

ランチョンマット、コースターなど、日常を彩る小物の数々

布が美しく染まるまで

① 染料を煮出す

植物を水から煮て、色を抽出します。写真で使用しているのは刈安と呼ばれるススキの一種です。

② 染料に浸ける

煮出した染料を水で薄め、そこに布を浸けます。染料の量や浸ける回数は染めたい色に合わせて調節。

③ 色を定着させる

水洗い後、布をミョウバンに浸けることで色が定着し、その後色が入りやすくなります。

④ 水で洗う

ミョウバンを水で洗い落とします。②から④を何度も繰り返し、少しずつ染めていきます。

⑤ 乾かす

染め終わったら布を広げて干します。乾くと色が変わるので、翌日に確認し、さらに色の調整を加えます。

変わらないことが伝統を守るということ

染司よしおかが伏見に工房を置く理由は、水にあると言います。植物から染料を煮出すとき、煮出した染料を薄めるとき、染めた布を洗うときなど、染色の工程には水が欠かせません。そしてその水の良し悪しは色の出方に大きく影響を与えます。伏見は古くから名水の地として知られ、かつては「伏水」と呼ばれていたほど。工房の庭には井戸があり地下100mから伏見の良水を引いています。

染めた布を干す吉岡さん。染まり具合を確かめながら布を広げます

色の伝統を守るとともに、古社寺の年中行事にも毎年関わり、供花神饌(きょうかしんせん)=造花を奉納することが、染司よしおかの仕事の柱になっています。「お寺などの仕事をさせていただくことで、伝統の重みを感じます。新しいことに挑戦するのも大事ですが、私にとっては、変わらないことが最も大切で難しい。コロナ禍でさまざまな伝統文化の継承が困難になったと聞いて、ずっと継いできたものを変わらずやり続ける責任を感じます」と吉岡さんは語ります。

繊細で鮮やかな日本の伝統色が誕生したのは、山や川、海、動植物、四季の移り変わりなど、自然が魅せる多彩な表情を敏感に感じ取ってきたからだと言われています。古くから受け継がれる和の色を読み解き、こだわった自然素材だけで再現する染司よしおか。自然を重んじ、歴史や文化の大きな流れに身を委ねながら、変わらず、これからも染物文化を守り続けます。

工房の内観。煮出した植物の香りに満ちています

工房の庭にはクルミやザクロなど染料となる植物が植えられています。風が吹くと実が落ち、工房の屋根をゴトンと鳴らします

紅花や蓼藍(たであい)、クヌギなど染料の植物が並びます。奥に写るのは昔の染色家が使用していたという道具など

右)庭で採れたザクロの実。染料として使うまで乾燥させてストックしています
左)染司よしおかで代々使われてきた大小の刷毛(はけ)。年季の入った様子に歴史を感じます

好みの色をいつまでも

たとえば、柿渋染めのバッグは長く使用するうちに商品の色が褪せてきたら、上から色を塗り直すメンテナンスが可能です。色やツヤを蘇らせて長く使い続けることができます

PROFILE

吉岡 更紗さん(よしおか さらさ)

染司よしおか 六代目当主

1977年京都市生まれ。アパレル会社での勤務などを経て、2008年より父であり五代目である吉岡幸雄氏のもとで染色の仕事に就く。2019年に染司よしおかを継承。

取材撮影協力

染司よしおか 京都店

〒605-0088 京都市東山区西之町206-1

TEL/075-525-2580

FAX/075-585-5233

営業時間/10:00~18:00

定休日/水曜日、夏期休暇・年末年始

https://www.textiles-yoshioka.com/

2022年12月現在の情報です。

新しい住まいと暮らしの情報誌 and.y 最新号プレゼント。冊子限定プレゼント企画もあります。

豊富な写真でご紹介 建築事例 家づくりの参考になるオーナー様の家づくり体験談。
LiveStyle PARTNER まずはあなたの家づくりタイプをチェック

注文住宅

地震に強く、断熱性能の高い注文住宅「xevo(ジーヴォ)シリーズ」。3・4・5階建て注文住宅「skye(スカイエ)」などをご紹介。

商品

3階

重量鉄骨造

木造

3階・4階・5階

重量鉄骨造

木造×RC構造

コンビネーションハウジング(併用住宅)

木質建築事業