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増税以外の税制の変更点も含めて、再確認してみましょう。

お金のこと

「2019年度税制改正と住宅購入環境」Produced by YOMIURI BRAND STUDIO

知っておきたいポイント

今年の住宅を巡る税制の目玉は、2019年10月の消費税率の引き上げに伴う措置と言えるでしょう。税率は8%から10%に引き上げられる予定です。政府は、かつて消費増税で巻き起こった「増税前の駆け込み需要」と「増税後の消費減退」の再来を防ぐため、税制上の措置を講じています。目的は増税前後の需要の平準化なので、増税前と増税後で著しい損得が発生しないように制度設計されています。増税以外の税制の変更点も含めて、再確認してみたいと思います。

※情報は2019年6月時点のものです。内容は制度運用中でも変更される場合がありますのでご了承下さい。

住宅ローン減税について

住宅ローンは一般的に数十年にわたって返済していくものですが、消費税率8%で住宅を購入した場合は、最初の10年間を対象に一定の減税措置が取られています。消費税率10%で購入した場合は、減税期間をさらに3年延ばし、増税による負担を減らす措置が取られています。10年以上の住宅ローンを組んで新居を買う場合などが適用の対象となります。

まず、消費税率にかかわらず、10年間にわたり、年末のローン残高(4,000万円上限)の1%が、所得税と住民税から控除されます。1%ですから、最大で年間40万円ということになります。さらに増税後の10%税率で住宅を購入した場合は、プラス3年間、控除が適用されます。
国土交通省が示したモデル (1)3人家族(世帯主、配偶者、2歳児の子ども) (2)収入は世帯主の675万円(課税所得:334万円) (3)住宅価格は,5000万円(うち、4,250万円借り入れ) (4)金利は固定2% (5)返済:元利均等 35年という条件を前提とした場合、税率10%の消費税で住宅を購入した場合は、控除額が13年間で456万円になります。3年の延長期間で生じる控除額の差は80万円です。

※一般住宅の場合

さらに、上記の例で、当初借入額を3,000万円、返済期間を25年に抑えた場合を計算してみましょう。3年間の延長期間で生じる控除額の差は53万円となり、前の事例の80万円を下回ります。つまり、多額のローンを組んで高価な物件を購入する人にメリットが大きいということになります。

住宅ローン減税はそもそも、年間40万円分の税金(所得税と住民税)を納めていなければ、最大限の控除は受けられません。また、ローン残高が4,000万円を割り込む場合は、残高に応じた控除額となります。

この制度は所得が高い人にメリットが大きいので、比較的所得が低い人向けに「すまい給付金」という制度があります。収入額の目安が775万円以下の人が受け取れ、給付額は10万円から最大50万円です(消費税率10%の場合)。ローン残高や納税額に関係なく、年収が低いほど多くを受け取れる仕組みなので、住宅ローン減税で十分な恩恵が受けられなかった人にとって、メリットがあると言えます。

住宅ローン減税 比較表 (黄色の背景部分が実際の控除額)

【設定条件】(1)家族:世帯主、配偶者、子ども(2才) (2)収入:世帯主(675万円、課税所得344万円) (3)住宅価格:5,000万円 (4)金利:2%(固定) (5)返済:元利均等

国土交通省関連HPよりデータを一部引用し、作成

※2019年10月~2020年12月の間に居住を開始し、当該住宅の取得に消費税率10%が適用される場合のみ。

※年収は10年間で2割上がると仮定。

贈与税の非課税枠拡充

消費増税での住宅購入意欲減退を回避するために、贈与を受けて住宅を購入する際の非課税措置もあります。相続が財産所有者が死亡した時に発生するのに対し、贈与は死亡する前に財産が移ることを意味します。若い人が十分な資金を持っていないけれど、老父母は資金に余裕があるというケースが今はとても多いです。多額の贈与は課税されるのが原則ですが、消費増税後には、住宅購入目的の贈与を対象に非課税枠が拡大されます。

例で見てみましょう。住宅購入契約が2019年4月~2020年3月で、消費税が8%だった場合、一般の住宅購入のために贈与を受けた金額のうち700万円が非課税となります。しかし、消費税率が10%だった場合は、2,500万円に非課税枠の上限が拡大します。省エネルギー住宅など質の高い住宅であれば、さらにこの上限は拡大します。

この制度は、用途などを問わない贈与の非課税枠(上限110万円)と併せて適用することができますので、親から贈与を受ける場合は、かなりの金額が非課税となります。親の財力に助けてもらって住宅を買いやすくすることで、購入を促す制度と言えます。

次世代住宅ポイント

消費税率10%で、断熱等級や耐震等級などで一定基準以上の性能の住宅を取得する場合、最大35万ポイント(35万円相当)が発行されます。住宅のリフォームもポイント発行の対象です。質の高い住宅供給を促すとともに、消費増税による割高感を軽減するための制度と言えます。ただ、ポイントと交換できる商品は、環境に配慮した商品や防災用品など、範囲が決められていて、何でも交換できるわけではありません。また、ポイントを最大限集めようと、不要・不急な性能を上乗せしていくのは本末転倒です。例えば20歳代の若い人が、ポイントほしさに、高齢者用のバリアフリー設備を購入する例などです。もともとエコ住宅に関心があって、ポイント制度を参考にして設備を決めるという程度がちょうどいいと思います。

配偶者居住権について

消費増税とは関係ないですが、住宅に関連する改正で、「配偶者居住権」という制度が設けられました。これは老夫婦のうち、配偶者が死亡し、残された世帯主や配偶者が財産を相続する際に、子どもと折半することになりますが、老父や老母が従来の自宅に住み続けられるように配慮した制度です。

老夫婦が自らの財産である自宅に住んでいて、世帯主が死亡した場合、配偶者と子どもで世帯主の財産を折半することになります。財産が自宅しかなく、その価値が2,000万円なら、子どもは1,000万円を受け取る権利が生じます。しかし、亡き世帯主の配偶者は現金を十分に持っていないこともあります。ひっそりと余生を自宅で送りたいと思っていたものの、遺産を子どもに相続させるためには、自宅を売却して1,000万円を捻出しなくてはならないという状況です。老母は住み慣れた自宅を出て行くことを余儀なくされます。こうした事態を防ぐのが「配偶者居住権」です。権利が設定されれば老母はこれまで通り、自宅で生活することができます。子どもの側で考えると、財産の相続が一部留保されることを意味します。

新制度によって遺産相続後も、配偶者は従来の生活を維持しやすくなる!

父が死亡した際の、母と子の相続例
(1:1で相続)

国土交通省関連HPよりデータを一部引用し、作成

父が死亡した際の、母と子の相続例
(1:1で相続)

国土交通省関連HPよりデータを一部引用し、作成

親子で遺産分割の話になった時、親の住まいをどう保護するかという法改正の背景を考えると、根っこには日本人の資産構成が不動産に偏り、金融資産が少ないことや、親世代に資産が集中し、子世代にないことがあります。居住権が設定されると売却ができなくなり、資産の流動化・資金化が困難になります。相続が発生する前に、同居や建て替え、売却・住み替えなど親子で考える機会を作っておくべきでしょう。

ライフプランを検討することが大切

ファイナンシャルプランナー
久保田正広さん

今回の消費税の増税に伴う需要刺激策によって、税率引き上げの直前・直後における住宅購入者にとっての損得はおおむね差がなくなったと言えます。むしろ注意すべきは、年収やローン残高など、ケースによって恩恵にバラつきが出ることや、減税やポイントを優先した購入計画は思わぬ失敗を招く恐れがあることです。特に、超低金利と都心部の地価高騰下における購入プランは、経済環境の変化を大きく受けやすくなります。働き方や通勤・通学、親の相続等に伴う住み替えの可能性など、ライフプランを検討することの方が、様々な支援策よりも、家計に与えるインパクトが大きいことを念頭に置いておきましょう。

久保田正広(くぼたまさひろ)
株式会社FPバンク 代表取締役CEO ファイナンシャルプランナー
みずほ銀行、外資系金融機関を経て独立系FP事務所設立。都内に店舗を構え、社員は22人。主な著書に「“後悔しない”住宅ローンの借り方・返し方」(同文館出版)、テレビにも多数出演。テレビ朝日「グッド!モーニング」TBS「いっぷく!」「Nスタ」「ひるおび」フジテレビ「バイキング」「ノンストップ!」「とくダネ!」等。

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※掲載の情報は2019年6月現在のものです。

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