土地活用ラボ for Owner

土地活用ラボ for Owner

コラム vol.239-3
  • 賃貸住宅経営のポイント

特集:旧耐震賃貸住宅物件のこれから第3回 軽量鉄骨造は重量鉄骨造に比べて耐震レベルは低いのか?

公開日:2018/06/29

今回は、旧耐震物件の事と直接関係ありませんが、耐震性という意味で大きな論点である、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」について考えてみます。

大和ハウス工業の賃貸住宅は、いろんな工法で建てることができます。賃貸住宅においては、RC造、S造等が主な建て方です。特にパネル工法と呼ばれる軽量鉄骨造の賃貸住宅が多くなっています。
他の建て方に比べ費用が抑えられ、また耐震基準レベルが高く、工期が短いため、オーナー様から支持を得ています。

S造とは、柱や梁など骨組に鉄骨を使用した建て方のことを指します。ちなみに、「S」はスチールの略で、柱が鉄になっており、強度を高めた鉄を使用しています。S造の中には、「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類があります。鋼材の厚みが6mm以上あれば「重量鉄骨造」、6mm未満のものを「軽量鉄骨造」と呼びます。大和ハウス工業の賃貸住宅では、主に「軽量鉄骨造」を採用しています。

軽量鉄骨造と重量鉄骨造では、鋼材の厚みの差があると述べましたが、重量鉄骨造のメリットとしてあげられる点は、構造上の理由から『自由度の高い間取り』『広い空間が可能』などです。
『高い耐震性』に関しては、「重量鉄骨」の方が、言葉のイメージ的に強そうですが、どちらも耐震性能が高いといえます。
重量鉄骨造は重さがある分、揺れた時の衝撃を吸収しやすいという特徴があります。対して軽量鉄骨造は、重量鉄骨造に比べると、骨組みは細く軽いですが、筋交いを多く使用するブレース工法などを用いることで耐震性を上げています。
また『遮音性』に関しても、確かに重量鉄骨造は、使われている柱が太く、それを覆うために壁も厚くなる分その効果は高まりますが、軽量鉄骨造でも床材などの建築資材を変えるだけで、高い遮音性が期待できます。

賃貸住宅経営の収益性で重要な、建築費や減価償却費の観点で比較すると、少々異なります。
まず、同規模の賃貸住宅ならば、建築費は軽量鉄骨造の方が安くなります。それにともない、固定資産税等が安くなります。構造による賃料差はあまりありませんので、高利回りが期待できます。 また、軽量鉄骨造の賃貸住宅は、耐用年数が19年(鉄骨3mm以下)、27年(3~4mm)の2パターンあります。重量鉄骨造の賃貸住宅では34年になります。同一価格の物件では、減価償却費が多くとれることになります。しかし、先に述べたように、たいてい物件価格は重量鉄骨造の方が高いので、減価償却費用に関しては、時に重量鉄骨造の方が多くとれることもあります。 まとめると、図のようになります。

軽量鉄骨と重量鉄骨の特徴比較

軽量鉄骨造 重量鉄骨造
19年、27年 法定耐用年数 34年
柱と梁だけでは強度を保てないために筋交いを使う「ブレース構造」 構造 柱と梁を一体的に固定し、筋交いを不要とする「ラーメン構造」
建設コストが比較的安い
→固定資産税も少なく済む
メリット 柱の数を少なくすることで、広いフロアや自由度の高い間取りが可能。
筋交いを使う分、レイアウトの自由度は下がる デメリット 建設コストが比較的高い

参考までに、建て方別の法定耐用年数をまとめると以下のようになります。
高層ビルや高層マンション等に用いられる「鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC)」は47年。同じく、鉄筋コンクリート造(RC)は47年です。
以下、ハウスメーカーなどが多く採用している、重量鉄骨造(厚さ6mm以上)は34年、軽量鉄骨造(厚さ3mm~4mm)は27年、軽量鉄骨造(厚さ3mm以下)は19年です。また、賃貸住宅ではあまり見かけませんが、木造は22年となっています(中古物件を購入した場合は、計算式が異なりますので、ご注意ください)。

もちろん、この耐用年数を過ぎると、建物が使えないことはありませんし、耐震性が落ちるということもありません。この年数はあくまでも、会計上に定められた年数であることに注意してください。すべて、耐震基準を超えた物件ですので安心して住むことができます。

最後に、旧耐震賃貸物件をお持ちの方が、建替えを行う場合、まず既存物件の解体を行わないといけません。この解体費用は、軽量鉄骨造の方が安価となるケースが多いです。建替えを前提とした収支計画を立てる方は少ないかもしれません。しかし、この解体費用の差は、見えない利回りの差につながります。

  • 前の記事へ前の記事へ

土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

[6・7月開催] ダイワハウスの賃貸住宅経営セミナー 参加無料/予約制

メールマガジン会員に登録して、土地の活用に役立つ情報をゲットしよう!

土地活用ラボ for Owner メールマガジン会員 無料会員登録

土地活用に役立つコラムや動画の最新情報はメールマガジンで配信しております。他にもセミナーや現場見学会の案内など役立つ情報が満載です。


  • TOP

このページの先頭へ