土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.264-5
  • 土地活用税務コラム

税の仕組みを知れば、もっと土地活用は面白くなる(5)土地活用におけるキャッシュフローの重要性

公開日:2019/04/26

土地は、ただ寝かせていても何も生み出しません。また、何らかの土地活用の投資を行ったからといって、その活用方法が有益とも限りません。土地活用を図ったつもりでも資産が逆に目減りしてしまっては、元も子も有りません。投資をした結果、果実を生み出して初めて、有効活用をしているといえるでしょう。

不動産投資が有益か否かの判断は、対象不動産から生ずる利益で判断をするものではありません。不動産投資で最も重要なのはキャッシュフローです。どんなに良い物件でもキャッシュフローが出なければ、有益な投資とはいえないでしょう。
不動産投資に慣れた方は、会計上の損益よりも、キャッシュフローを重視します。中には、あえて会計上の損益が赤字になり、キャッシュフローが黒字になる投資案件を検討する場合もあります。具体例は後述しますが、会計上の損益が赤字であれば、その分税金の負担が減って税務対策にもつながり、結果として手残りのお金が増えます。このような状態は、投資対象として最も望ましい状態といえるのではないでしょうか。
投資判断にあたっては、キャッシュフローを重視して検討することが必要です。

キャッシュフローとは

キャッシュフローの具体的な計算方法は一つだけではありませんが、イメージしやすいのは次の算式でしょうか。

キャッシュフロー=現金収入-現金支出

これは、単純に入ってきたお金から出て行ったお金の差引が手残りの資金ということを表わしますが、会計上の損益が考慮されていないので、もう一つのキャッシュフローの計算方法についてみてみましょう。

キャッシュフローの計算については次の算式も成り立ちます。

キャッシュフロー=会計上の損益+減価償却費-銀行への返済等

これは、会計上の損益に含まれていたキャッシュアウトの伴わない費用である減価償却費を損益に足し戻し、逆に会計上の損益計算に含まれていない借入金の返済をマイナスすることによって求めます。

この算式からも判るように、キャッシュフローの計算にあたっては「減価償却費」と、「借入金の返済等」が重要な計算要素となります。「減価償却費」が大きいほど、又は、借入金の返済等が小さいほど、キャッシュフローが大きくなります。

(1)減価償却費の仕組み

まずは「減価償却費」から見ていきましょう。税法では減価償却費を計算するために、資産の種類、構造ごとに耐用年数が決められています。例えば、鉄筋コンクリート造であれば47年、軽量鉄骨造であれば34年、木造であれば22年。そして建物の取得費に耐用年数に応じた償却率を乗じて、取得費を耐用年数の期間で均等に按分して費用化していきます。これを減価償却費といいます。

取得価額3,000万円の建物の場合の具体的な償却費の額を見比べてみましょう。

<鉄筋コンクリート:耐用年数47年>
3,000万円×0.022(償却率)=66万円(年間の減価償却費)

<木造:耐用年数22年>
3,000万円×0.046(償却率)=138万円(年間の減価償却費)

同じ3,000万円の建物であっても、構造次第によって費用化できる減価償却費の額は、変わり、鉄筋コンクリートだと毎年66万円。木造だと138万円が費用化されることになります。

更に、この耐用年数は新築の場合の耐用年数であって、中古資産の場合には、実務上、新築の法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に、経過年数の20%に相当する年数を加えた年数を用います。
具体例を挙げると以下の通りです。

木造建物の新築の耐用年数22年
経過年数15年
(22年-15年)+15年×20%=10年(中古の耐用年数)

つまり、中古の投資資産の方が耐用年数は短くなり、結果、費用に計上できる金額も大きくなり、利益の圧縮が可能になります。

(2)借入金の返済等

次に、キャッシュフローの計算要素の一つであった「借入金の返済等」を見ていきましょう。耐用年数の短い資産で利益が圧縮できてキャッシュフローが増えそうだ。といって、喜んでばかりもいられません。もし、不動産投資を銀行借り入れに頼ろうとした場合、耐用年数を参考にしてローンの返済期間が決められるケースが多いからです。つまり、耐用年数が短いほど、それに比例して銀行への返済期間が短くなってしまうため、毎年の返済額が大きくなってしまいます。このようにキャッシュフローを確保する上で、償却期間と、借入期間とは相反の関係にあり、減価償却費と借入金の返済期間のバランスが重要といえます。

減価償却費を超える借入金の返済額の場合には、「会計上は赤字だけどキャッシュフローは黒字」。という算式は成り立ちませんし、そもそも減価償却費よりも借入金の返済額が多いようだと、儲かった利益の多くが借入金の返済に回されてしまい、お金の残りづらい投資となってしまうケースが多くなります。
借入に頼る場合であっても賃貸収入に対する返済比率は、最低でも50%以上にすべきではないといわれています。というのも、返済比率が高いと、手残りのキャッシュフローはほとんど残らなくなってしまいます。できれば、頭金を多少でも入れて返済比率を下げておけば、キャッシュフローも生まれ次の投資意欲も沸くようになります。

キャッシュフローは黒字なのに税務効果があるケースとは

冒頭でお伝えしましたが、会計上の損益は赤字なのに、キャッシュフローは黒字。とは、どのような仕組みによるのでしょうか。また、そのような場合の税務的な効果を見てみましょう。このようなポジションの場合には立派な税務対策ができ、一方でキャッシュフローは黒字なのでお金は溜まりやすい状況にあるといえます。

(事例)

物件の取得価額 1億円 (内訳)
土地:4000万円
建物:6000万円
耐用年数 中古耐用年数8年(償却率0.125)
銀行借入 4,000万円
キャッシュフロー 収入 家賃収入 1000万
支出 維持管理費等 300万円
借入金返済 350万円

まずは、キャッシュフローを見てみましょう。

収入(1000万円)-支出(300万円+350万円)= キャッシュフロー(350万円)

家賃収入が1000万円であるのに対し、支出は維持管理費等と借入金返済を合わせた650万円なので、キャッシュフローは350万円と計算されます。
次に会計上の損益を見てみましょう。

家賃収入(1000万円)-支出{(維持管理費300万)+減価償却費(750万円※)}=▲50万円

1000万円の賃料収入に対して維持管理費等300万円がかかるところまではキャッシュフローと同じですが、会計上の損益にはキャッシュアウトの伴わない費用である減価償却費があります。

  • (※)減価償却費
    6000万円×0.125(中古資産耐用年数8年間の償却率)=750万円
    建物の取得価額6,000万円を8年間で減価償却により費用化していきますので、1年間あたりの償却額は750万円となります。

この会計上生じた▲50万円の赤字は、法人でも個人でも他の所得と損益通算することができ節税につながります。例えば元々1000万円の所得がある場合、この▲50万円の赤字を損益通算することで全体の所得は、950万円となりその分だけ所得にかかる税金が安くなるという仕組みです。この安くなった税金もキャッシュフローを生み出していると考えられます。更に、キャッシュフローは、毎年350万円の黒字によってお金が積み上がっていくのです。

キャッシュフローを黒字化し易い投資

こうした前提を考えてみてくると、キャッシュフローを生み出し易い、有益な不動産投資に向いているのは、借入に大きく頼らない投資ではないでしょうか。
具体的には、既に土地を保有している方が賃貸住宅・マンション経営などの不動産投資を行う場合には、少なくとも土地を取得するための借入を行う必要が無いですし、仮に借入をするにしても建物の建築費部分だけで済みます。よって、返済比率を下げることができ、キャッシュフローを黒字化しやすくなり、有益な投資につながる可能性が高いといえます。こうした方々は、土地を既に持っている分だけ大きなインセンティブを持っていると考えられます。

また、土地を保有していない方が一から土地を取得し建物を建築して賃貸住宅・マンション経営などの不動産投資を考えられている場合であっても、土地の取得費と建築費のためのプラスαの頭金を用意できるのであれば、同様に借入比率を下げられ、キャッシュフローを生み出す可能性は同様に高まるといえます。

なお、借入比率が低い方が、それを賄うために必要な賃料を計算しやすくなり、よりキャッシュフローを生み出しやすいという事実に変わりませんが、借入比率が高いからといって、絶対に有益な不動産投資が出来ないかというと、そういう訳でもありません。中には、種々の理由によって、あえて借入比率を高める不動産投資を行う場合もあります。
例えば、相続対策によって借入金の比率を高め、相続財産の圧縮を図りたい。という方の場合には、借入投資は相続税の圧縮にもつながり、税務対策となる有益な投資とも考えられます。
また、借入比率を高めた投資の場合、自分の手許資金を残したまま不動産投資を行えるというメリットもあります。手許資金を用意しておけば、次にどうしても投資したい物件があったときの投資資金に回せ、自己資金を温存しながら次の物件の購入ができるメリットもあります。さらに、借入がし易い不動産物件ということは、金融機関の評価も高いため、自分が次に売却するときも金融機関の評価は高くなる傾向があり、次に購入する人も金融機関から調達し易いと考えられ、売りやすい物件という考え方もあります。

このように借入比率が高くても立派にキャッシュフローを生み出す案件もありますので、それぞれの目的を踏まえてリスク等を把握し、許容できるのであれば、このような投資方法も選択肢になり得ます。ただ、忘れてならないのは、どのような場合においても、単なる表面的な利回りだけに捉われるのではなく、必ずキャッシュフローの視点を忘れずに投資案件の検討をすることが必要と思われます。

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