土地活用ラボ for Owner

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コラム vol.267
  • 土地活用税務コラム

税の仕組みを知れば、もっと土地活用は面白くなる(3)相続土地の有効活用目的に応じた土地活用を考える

公開日:2019/02/28

POINT!

・不動産を保有しているだけで、固定資産税、維持管理費、保険料、及び修繕費などさまざまな費用がかかる

・なぜ、土地の有効活用を図りたいのか?」を自問自答して「目的」を考える

土地を相続により取得したものの、その土地の利用目的が定まらないまま空き地や空き家として放置されているケースがあります。私は税理士という職業柄、相続の際に遺産分割協議に立ち会う機会が多く、「図らずも発生した相続なので、財産がタダで手に入るのであれば、とりあえずもらっておこう」と考える方にも少なからずお目にかかります。私はこうしたときには、必ず「この土地は保有し続けるだけで年間約30万円の固定資産税がかかります。10年で約300万円。20年で約600万円です。利用目的があって相続するならまだしも、そうでないのであれば、一日でも早く、この土地の有効活用を図る必要があります」とアドバイスをしています。そのアドバイスの根底にあるのは、不動産を有効活用して、財産を増やしましょう、ということよりも、資産を取得したがために、財産が目減りすることがないようにしましょう、という注意喚起です。
不動産の有効活用とは、投資をして財産を増やしたり、相続対策により節税をしたりするためだけにあるものではありません。本来、不動産とは、収益を生むことができる資産ですが、目的もなく所有しているだけではコストがかかり、逆に資産が目減りしてしまうリスクもあります。そうした、資産目減りのリスクを回避することも、土地活用の立派な目的の一つといえるでしょう。
今回は、相続により取得し、利用目的も定まらないまま放置されている土地の活用方法について、税制を絡めて考えてみたいと思います。

土地の保有にかかるコスト

まずは、利用目的のない土地を保有しているリスクを考えてみましょう。土地を保有しているだけでもさまざまな費用がかかります。その代表的なものとしては、固定資産税、維持管理費、保険料、及び修繕費などが挙げられます。以下に記載するとおり、これらの費用は年間で数万円~数十万円かかることもあり、10年~ 20年間のスパンで考えると何百万円という金額になることもあります。

  1. (1)固定資産税
    土地、建物の評価額に1.4%の割合を乗じて算出されます。立地条件や面積によって大きく変わりますが、年間で数十万円、もしくはもっとかかる可能性もあります。なお、その土地が居住の用途であれば、住宅用地の特例により一定面積までは固定資産税が6分の1になる制度が設けられています。ただ、誰も住まない状態で放置して「特定空家等」に指定されると、住宅用地の特例が受けられなくなり、6分の1の減免措置はなくなります。空き家問題が騒がれている昨今、こうした取り締まりも厳しくなり、「特定空家等」の割合も増加傾向にあるといわれています。
  2. (2)維持管理費、火災保険料、修繕費など
    住む人がいるなら無論のこと、誰も住んでいない家であっても放火や隣家からのもらい火のリスクに備え、火災保険が必要になります。また、建物や設備は使用していないと劣化していきます。経年劣化を極力防ぎ、維持するためには、屋根や壁、門扉などの定期的なメンテナンスや庭木の管理が必要になりますし、不法投棄にも備えなければなりません。こうした維持管理費用などは、年間で数万円~十数万円程度はかかるといわれています。

土地の活用方法

次に、土地の活用方法についてみてみましょう。提案できる選択肢が無数にあるわけではありませんが、大きく分けると次の3つではないでしょうか。

  1. (1) 土地の上に建物を建てて、貸家として不動産収入を得る
  2. (2)土地を貸して地代収入を得る
  3. (3)土地を売却して売却収益を得る

(1)土地の上に建物を建てて、貸家として不動産収入を得る(賃貸住宅・マンション経営や、戸建て賃貸)

土地活用と聞いて真っ先にイメージしやすいのが賃貸住宅・マンション経営でしょう。相続により取得した土地に賃貸住宅やマンションを建てて家賃収入を得るビジネスモデルです。立地条件などによっては、大きなリターンが見込める魅力的な投資です。ただ、投資額が大きくなる分リスクも伴うため、綿密なシミュレーションが求められます。
また、賃貸住宅・マンション経営ほど大規模ではないものの、戸建ての空き家があれば、それをリフォームして貸し出すことも不動産の活用方法の一つです。百万円程度の費用でも、立派なリノベーションが可能で、その分の賃料アップも見込め、数年間でリフォーム費用を回収することも可能です。かつ、リノベーションをして人が住むことで資産価値を高めることにもつながります。

  1. (1)減価償却費の計上
    投資による建物の建設費やリフォーム費用は、減価償却費や修繕費を通じて、所得の計算上、経費に算入することが可能で、不動産所得の圧縮が図れます。
  2. (2)固定資産税の圧縮
    建物を居住用として活用することで、土地の固定資産税が6分の1に軽減されます。固定資産税は、土地を空き地として所有したり、駐車場として貸したりする場合よりも、その土地の上に自宅や賃貸住宅などを建て、住宅用地にした方が安くなります。これは、住宅用地に対する固定資産税の減免措置が設けられているためです。
  3. (3)維持コストの経費算入
    不動産にかかる固定資産税や、保険料や、維持管理費は、空き地で放っておいた場合には、自分のポケットマネーから拠出するだけで経費に入れることはできませんが、賃貸業を営むことで、こうした支出はその不動産所得の経費として認められ不動産所得の圧縮が図れます。
  4. (4)相続税評価の圧縮
    土地の所有者の相続が発生した場合の土地の評価は、貸家建付地としての評価となり、空き地としての土地の評価よりも圧倒的に低い評価が可能で、相続税の圧縮を図ることができます。

(2)土地を貸して地代収入を得る

賃貸住宅・マンション経営の次に思い浮かべるのが、駐車場経営ではないでしょうか。土地所有者は単に月極駐車場やコインパーキングとして土地を貸すだけなので、少ないリスクで事業が行えます。利回りは低くとも一定の地代収入が入ってくるので、最も手軽な土地活用法といえます。また、商業施設などに適した立地や広さがあれば、貸地によって地代収入を得る方法もあります。土地だけを貸し出し、建物は借り手の負担で建設をするものです。ただ、貸地は一定期間以上貸し出すことになるため流動性や転用性が低くなり、安定した地代収入は得られるものの、自由に使い道を決められなくなる恐れがあります。それを防ぐために、貸地の場合は定期借地権設定契約を結ぶのが一般的です。

賃貸住宅・マンション経営と比べて、土地所有者が駐車場経営や定期借地によって土地活用をする最大のメリットは、借り入れをする必要がないことでしょうか。賃貸住宅・マンション経営の場合は、自己資金でまかなえる方は少なく、多くの方が借り入れを行います。これが、土地の有効活用に対して二の足を踏む最たる要因となっています。その点、定期借地権を利用した土地活用であれば、建物はそこを利用する借地人が建てることになり、所有者は、借金をする必要もありませんし、建物の維持管理コストを負担することもありません。また、税金的なメリットで考えると、土地の所有者の相続が発生した場合には、借地権の底地としての評価となり、賃貸住宅・マンション経営の場合と同様、空き地としての土地の評価よりも圧倒的に低い評価が可能で、相続税の圧縮を図ることができます。

(3)土地を売却して売却収益を得る

その資産からもたらされるリターンを積極的に考えていないのであれば、保有リスクから解放されることを目的に、売却することもその不動産の有効活用といえます。
自分ではなく他の人であれば、有効活用ができる場合もありますし、自己の土地だけではなく、隣接する土地と一緒にすれば、有効活用につながるというケースも多いものです。何も手を加えないまま誰も住んでいないと、手入れが行き届かなくなり、資産価値がどんどん下がってしまいます。それならば売れるうちに売却してしまうというのも、有効な選択肢と思われます。
売却することで、その不動産にかかる固定資産税や維持管理費などのコストを回避できます。それだけで、10年~ 20年のスパンで考えれば、数百万円もの資産の目減りを防ぐことができます。また、最たるメリットは不用資産のキャッシュ化です。一度、キャッシュ化することで、自身に合った最適な方法に再投資することも可能になります。
年々増加する空き家を抑制するため、相続で不動産を取得したものの利用目的がなく、困っている方向けに、税制面でもその土地を手放しやすくなるような制度が設けられています。

  1. (1)譲渡所得の3000万円特別控除
    2019年12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)または取り壊し後の土地を譲渡した場合には、その譲渡所得から3000万円を特別控除できます。つまり、譲渡所得が3000万円以内なら納付負担はゼロということになります。この特例は、従来は相続人が「居住している家や土地」が対象でしたが2016年4月から2019年12月31日までは相続直前までに被相続人本人が住んでいれば、相続人が住んでいなくても控除が認められるようになりました。なお、この3000万円特別控除と、後述する②取得費加算の特例は併用できないので注意が必要です。
  2. (2)取得費加算の特例
    譲渡所得は、売却価格から、取得費や譲渡費用を控除して求めますが、相続税申告期限から3年以内に相続した財産を売却した場合には、相続税申告により納付した相続税のうちに、その土地にかかる相続税額をも控除でき、課税対象になる譲渡所得を少なくすることができます。
    具体的な計算式は次の通りです。

相続税申告期限から3年以内に売却したときの譲渡所得金額
売却価格 -(取得費+相続税の取得費加算、譲渡費用) = 譲渡所得金額

まとめ

保有している土地を将来的なプランもなくただ眠らせている場合には、その間にも資産が目減りしているということを忘れてはなりません。
土地を相続しても、それを活用できなければ、「こんなことなら土地なんか相続するべきではなかった」と思うときが来てしまうかもしれません。こんな思いになるのは、土地を取得した経緯が相続だからです。積極的に自ら取得した土地ではなく、受動的に自分のものになったため、どうしても土地活用を考えることが後手に回ってしまうのです。
土地の有効活用ができていない方の多くは、その土地をどうすればよいのかというアイデアを持っていないと思います。だからこそ、有効活用ができていないのです。そうした方はまず、「なぜ、土地の有効活用を図りたいのか」、または「なぜ図らないといけないのか?」を自問自答して、その「目的」を探ってみてはいかがでしょうか。
中には、せっかく収益を生み出す可能性のある資産を手に入れたのだから、積極的に果実(収益)を生み出すような資産にしたい、とお考えの方もいると思います。そうした方は、その目的に沿って選択をすることが正しいと思います。一方で、資産保有にかかる維持コストが負担で、資産が目減りするリスクから解放されたいという目的の方もいらっしゃると思います。その方にとっては売却することも正しい選択なのではないでしょうか。
大切な不動産であっても、所有の目的がなければ、何も生み出してはくれません。一方、対策を講じて何かを生み出すような資産に転換できれば、そこにお金が流れ、人が流れ、経済が流れ、その土地にまつわる空間が生きたものへと変わります。そうした力を土地活用は持っていて、国も税制を通じてそれを実現させやすい環境を後押ししています。これに該当するような方は、是非、一考してみてはいかがでしょうか。

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