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  • 土地活用法律コラム

コラム vol.070

借地権・借家権をめぐるトラブル

執筆:弁護士 吉山晋市
公開日:2015/03/31

借地上の建物の増改築・建替え

建物が老朽化したり、家族構成が変化すると、増改築が必要になります。また、地震などの自然災害で建物が滅失すると、再築が必要になります。
借地上に借地人が建てた建物所有権は借地人に帰属しますから、借地契約の条件の範囲内で借地人は自由に建物を増改築・建替えができるのが原則です。
もっとも、多くの借地契約では、建物増改築禁止特約が設けられています。この特約がある場合には、借地人が建物の増改築をするには地主の承諾が必要になります。地主としては、地代の増額を求めたり、承諾料を求めるのが一般的です。地主と借地人との協議がまとまらない場合には、借地人が裁判所に「増改築許可の申立」をします(借地借家法17条1項)。裁判所は、借地権の残存期間、土地の状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮したうえで、地主の承諾に代わる許可(代諾許可)を与えることができます(同条2項・4項)。また、裁判所は許可の際に、地代の増額など借地条件の変更すること、承諾料としての財産上の給付を命じることなどその他相当の付随処分をすることができます(同条3項)。
なお、建物の滅失があった場合に、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を再築したときは、地主の承諾がある場合に限り、借地権は承諾があった日または建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続します(借地借家法7条1項)。借地人から再築の通知があったにもかかわらず、地主が2カ月以内に異議を述べなかったときは、承諾があったものとみなされますので(同条2項)、地主としては注意が必要です。もっとも、地主の承諾がなくても借地人は建物の再築ができ、借地権の更新が認められないにすぎません。この場合には、拒絶の理由が正当事由として、認められるか否かの問題になります。

賃借権の譲渡・転貸、相続について

借地人は貸主の承諾がなければ、賃借権を譲渡、転貸することはできません(民法612条1項)。
では、夫婦間の離婚による借地権の譲渡、高齢の借主から子らへの借地権の譲渡・転貸の場合を考えてみましょう。
判例上、賃借権の無断譲渡、無断転貸は、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情がある場合には解除できないとされています(最判昭和28年9月25日民集7巻9号979頁)。
まず、離婚による財産分与として、地上建物とともに土地の賃借権を配偶者に譲渡する場合は、地主の承諾は不要と考えられます。
また、借地人である親が、借地上に所有する建物を同居する子と共有していた場合に、建物と借地権の共有持ち分を子に譲渡したときは、借地の利用及び賃料支払等の実質的関係に変化がなければ、借地権の持分譲渡につき地主の承諾は不要と考えられます。
なお、借主が死亡した場合、法律上当然2して使用収益することができます。

地主側の相続について

地主が死亡して相続が開始した場合も、地主の賃貸人としての地位が相続人に承継されます。
相続開始から共同相続人間で遺産分割協議が整うまでの間の賃料債権について、最高裁は、相続開始後遺産分割前に生じた賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって各共同相続人が相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するのが相当であると判断しています。(最判平成17年9月8日民集59巻7号1931頁)。

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