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コラム vol.071

ご入居者による迷惑行為や事故などをめぐるトラブル

執筆:弁護士 吉山晋市
公開日:2015/05/12

ご入居者による迷惑行為や事故の具体的なケースとしては、以下の問題が考えられます。

  1. (1)ペットの飼育
  2. (2)騒音問題
  3. (3)ゴミ問題
  4. (4)自殺・変死

賃貸人としてどんな対応ができるのか、賃貸人としてどんな義務を負うのか、検討していきましょう。

(1)ペットの飼育について

【ペット飼育禁止条項は有効か】
建物賃貸借契約書にはペットの飼育を一律に禁止する条項がありますが、一般的にはこのような条項も有効であると考えられています。もっとも、ペット飼育禁止条項に違反したことのみを理由に建物賃貸借契約の解除を認めた裁判例もありますが、事案によってはペット飼育による衛生状態、近隣住民への影響の程度を考慮して解除を認めた裁判例もあります。

【ペット飼育禁止条項がない場合】
最近はペットブームの影響もあり、ペット飼育禁止条項は設けずペットの飼育を容認している賃貸マンションも多くなりました。
では、ペット飼育禁止条項を設けない場合に、建物のオーナーとして注意が必要なのはどんな点でしょうか。
ペットの飼育を容認するとしても、ペットの種類や飼育方法によっては建物の汚損・毀損、近隣住民への迷惑が生じる可能性があるので、ペット飼育に関するガイドラインを設けて、飼育できるペットの種類や大きさ、共用廊下等では飼い主がペットを抱いて歩く(リードで繋いでいても他の住民に飛びかかる可能性があるので)、糞尿の後始末を徹底する、など取り決めをしておくことが重要です。
ペット飼育を容認していた場合でも、通常の飼育方法を逸脱して当事者間の信頼関係を破壊していると認められる場合には、賃貸借契約の解除も認められます。

(2)騒音問題について

【受忍限度の範囲内かどうか】
迷惑行為の中でもっとも問題になるのが騒音です。
建物賃貸借契約書には「大きな音量でテレビ、ラジオを視聴、楽器の演奏等をしてはならない」というような騒音禁止条項を設けていることが多いです。
とはいえ、マンションや賃貸住宅など共同住宅であれば、多少なりとも足音やテレビ、会話の音、楽器の音などが生じることは避けられません。
したがって、騒音については、社会生活上受忍すべき限度(受忍限度)を超えている場合に騒音禁止条項に違反するといえます。
受忍限度の範囲内かどうかについては、騒音の大きさ、種類、時間帯、頻度、騒音の発生が生活上不可避かなどの要素で判断します。

【賃貸人の義務とは】
騒音問題が生じた場合に、賃貸人としては、ご入居者から騒音被害の申し出があった場合には適切な対応をとっておかないと、建物を使用収益させる賃貸人としての義務を怠ったとして債務不履行責任を負う場合がありますので注意が必要です。
賃貸人としては、騒音の苦情があった場合には、ご入居者全体に対して生活騒音に対する注意喚起する掲示や文書配布をする、騒音の発生源であるご入居者に対して個別に文書で通知する、それでも改善しない場合には賃貸借契約の解除を求めていくことが必要です。
このような対応をする前提として、騒音被害の内容について録音や録画をしておくことが重要です。

(3)ゴミ問題について

一時話題になったような、ゴミを室内に溜め込んで悪臭を放っているなどのケースでは、ご入居者が建物の用法遵守義務に違反しているとして賃貸借契約の解除が認められます。
では、ゴミの分別を守らない、ゴミ回収日の決まりを守らないといったルール違反についてはどうでしょうか。
ゴミ出しのルールを守ることもご入居者の建物用法遵守義務に含まれると考えられます。したがって、ゴミ出しルールを守らないご入居者に対しては、ルールの遵守を周知し、それでも改善されない場合には解除ということになりますが、そのためにはルール違反の内容・程度が問題になりますので慎重な判断が必要です。

(4)自殺・変死について

【賃貸借契約の連帯保証人や賃借人の相続人に対する損害賠償請求】
ご入居者が居室内で自殺した場合、建物オーナーは、賃借人の善管注意義務違反を理由に、連帯保証人やご入居者の相続人に対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。もっとも、損害賠償責任の範囲は、自殺の状況、近隣住民の周知の程度など事案によってさまざまです。

【賃貸人の告知義務】
自殺のあった居室を賃貸する場合には、賃貸人としては、自殺があった事実を入居希望者に告知する義務があります。一般的に、自殺があった部屋というのは心理的に嫌悪感を生じる事由になるからです。

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