特集:賃貸住宅経営 6大リスクの回避法 修繕費用はどれくらい見込めばいい?
公開日:2018/06/29
6回シリーズ「賃貸住宅経営の6大リスク」の第3回目。
これまで、「空室リスク」「賃料下落リスク」についてお伝えしました。
今回は、「修繕リスク」ついて考えてみましょう。
賃貸住宅事業でかかる修繕について:どんな修繕があるのか?主な修繕項目の洗い出し
賃貸住宅経営は、30年~35年の長期にわたります。その間には、小さな修繕から大規模な工事まで、必ず修繕が必要になります。
図1:修繕の分類と主な修繕箇所
図1は修繕の分類と主な修繕箇所についてまとめたものです。
修繕には、入退去時に都度発生する「原状回復」と概ね15年~20年ごとに発生する「大規模修繕」「取り換え」があります。
原状回復は、ご入居者からの預かり金でまかなえる部分もありますが、経年劣化に伴う費用は貸主側負担ですので、一部はオーナー様の負担となります。主に、室内の修繕、リフォームなど、住む方が(あたかも新築時のように)快適に住む為に行うのが、「原状回復」です。代表的な例を挙げると、クロス張り替え、フロア張り替え、障子・襖・網戸張り替え、ハウスクリーニングなどです(賃貸借契約の内容により、借主or貸主が異なります)
大規模修繕は、主に躯体にかかわる修繕工事や建物外装に関する修繕です。塗装工事、外壁補修工事、屋上・バルコニーなどの防水の補修工事などがこれにあたります。工事費用がかなり掛かるものもあります。
「取り換え」は、水廻り設備や給湯器、エアコン等の取り換えです。耐久年数は物によって異なりますが、概ね15~20年くらいが多いようです。
図2:修繕の分類と主な修繕箇所
図2は、大規模修繕、取り換えの内容と周期についてまとめたものです。
10年を超えたあたりから、色々な個所の修繕、取り換えが必要になり始めます。15年~20年頃に取り換えピークを迎えます。また、外部修繕工事は、10年目を過ぎたころから出始めます。この時期、結構な金額の修繕、取り換え費用がかかることを覚悟しなければなりません。
しかし、ハウスメーカーが建てるようなパネル系の外装部材は、汚れが目立ちにくく、塗装もはがれにくいので、この修繕時期は遅らせることができます。10年に1度ですと、30年間では少なくとも2回の工事が必要ですので、こうした修繕時期を遅らせることは、収益率が良くなります。※立地条件などにより状況・年数は異なります。
修繕リスクとは:修繕費用を収支計画に盛り込む必要性
このように原状回復、修繕・取り換えは必要ですが、ここでいう「修繕リスク」とは、予想外の出費のイメージです。
賃貸住宅経営を始める前に作成する収支計画表にこれらの費用を見込んでおくことは、必須となります。もし、予算化したその費用を使わなければ、その分は利益の上乗せになりますが、もしとっていないとすれば、「思わぬ出費」となります。この思わぬ出費こそが、リスクとなります。
収支計画を立てるときには、これらの費用を(多少多めに)見込んでおき、その上で収益が求める数字になっているかで、賃貸住宅経営を始めるかどうかの判断をすべきです。
大和ハウス工業が提供している賃貸住宅経営の収支計画表を見ると、「修繕工事費用」をきちんと見込んだ形になっていますので、こうした心配は少ないと思います。しかし、「もしも、万が一」を考えるのでしたら、それ以上の費用を見込んでおくと、なお安心だと思います。