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コラム vol.222-3
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特集:中小企業の為の不動産戦略~基礎編 第3回目~ なぜ、収益不動産を所有する企業が増えているのか?

公開日:2017/11/30

3倍になった収益不動産

国土交通省が2017年6月に発表した資料によると、平成27年度の我が国の不動産資産は総額約2519兆円にもなるようです。その中で、法人所有不動産は約430兆円(約17%)となっています。
平成20年度の数字と比較してみましょう。

  平成20年度 平成27年度 比較
不動産資産合計 約2300兆円 約2519兆円 +9.5%
法人所有不動産 約490兆円 約430兆円 -12.3%
収益不動産 約68兆円 約208兆円 +205%

こうしてみると、この7年で不動産資産価値が上昇していることが分かります。
また、収益不動産は3倍以上になっており、平成27年度においては、このうち証券化された不動産(JREIT含む)は約50兆円で25%程度しかなく、それ以外の約158兆円分は企業や個人が所有する収益不動産となっています。証券化された不動産は平成20年度に比べてそれほど増えていませんから、収益不動産の増加は、企業や個人が所有するものが増えたことになります。

ちなみに、平成27年度の公的不動産(PRE)は約590兆円で、そのうち地方公共団体が所有するものは76%にあたる約450兆円です。

法人所有不動産は減少しています。2000年代から続く持たざる経営、合理的な経営が行われている現れです。不要な不動産、使っていない不動産、またはあまり効果的に使われていない不動産は思い切って処分する。一方で、本業以外の収益としての不動産賃料収入を得ている企業が多くなっていると想像できます。

JPのKITTE事業

こうした不動産賃料収入得ている大手企業の1つの、日本郵便(JP)があります。郵便事業、かんぽ生命、ゆうちょ銀行といった事業の業績はあまり芳しくないようですが、その一方で、大都市駅前一等地にあるそのエリアの中央郵便局の建て替えを行っています。

中央郵便局は東京、大阪、名古屋などの駅前の利便性の良い場所にありながら、低層な建物が多く、場所の割には低利用地でした。それらを建て替えて高層ビル(KITTE)を建てて、自社で使わない階層を賃貸として貸し出しています。
東京中央郵便局は、東京駅の目の前にあり、アンティークな建物でした。それを建て替える際に、それまでの建物を活かして、アンティークさを残すかどうかで、当時の総務大臣までその議論に加わり、メディアが大きく取り上げましたので、記憶に残っている方も多いと思います。あの建物がKITTEの第1号物件です。その後、名古屋や福岡でも駅前中央郵便局は建替えられ、KITTE名古屋、KITTE博多となりました。

こうしたJPの動きの背景には、宅配事業会社におされ先行きが不透明な郵便事業、貸出先にさがしに難航する銀行事業(ゆうちょ銀行)、収益性の低い生命保険事業(かんぽ生命)と既存の事業の先行きの不安からだと思われます。
本業の先行きが不透明な時期を不動産賃料収入で補い、その収益を持ってその後の新たな事業の立ち上げ、発展につながることを目論んでいることでしょう。

このように、事業会社における不動産賃料収入は、苦戦の本業を支え、次なるステージへの足掛かりとなる下支えとなるのです。

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土地活用ラボ for Owner アナリスト

吉崎 誠二(よしざき せいじ)

不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者等を経て現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(芙蓉書房出版)、「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)、「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。

公式サイト:URL http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:URL http://www.hr-i.jp/

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