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昨年度のDXアニュアルレポート2022の本欄で『DXは、絶え間ない意識改革であり未来を切り拓く最大の戦略である』とメッセージを発しました。1年が経過した今、本レポートにあるように各事業本部や関連会社で具体的なDX推進事例がいくつも出てきました。そして社員の関心の高さも認識できる状況になってきました。DXとは、『えっ、そんな方法があったのか!』という驚き・共感・気づき、といった“意識の変化”=“やり方を変える勇気”だとお伝えしましたが、その意識改革が浸透しつつあると実感しています。
第7次中期経営計画において、DXは、すべての経営方針の横串を通す重要な位置にあることに変わりはありませんが、もう一度、企業変革におけるDX推進の意味合いについて私の考えを説明します。
企業の持続的成長は、社員が現状維持のままでいいと思った途端に停滞します。絶え間のない企業改革があってこそ成長がありますが、その企業改革は大きく二つに分けられます。
(1)顧客体験の改革(顧客価値の向上、UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上・・)
(2)業務の改革(業務オペレーションの徹底した効率化、生産性の向上・・・)
両改革は同時に進めることは勿論ですが、特に(2)については背景として社員の「働き方の改革」があり、「ESG」への対応があります。そして新しいテクノロジーやイノベーションによるDXの活用、推進が大きな梃子になっています。(1)も(2)も過去から取り組んできていますが世の中思い通り進んでいないという見方が一般的です。
社外取締役 吉澤 和弘
日本電信電話公社入社後、(株)NTTドコモ代表取締役社長、取締役。
現在は(株)NTTドコモ相談役、ソニーフィナンシャルグループ(株)社外取締役、パーソルホールディングス(株) 社外取締役。
ITシステム(情報システム)は企業の『見えざる資産』である、『企業の差異化(強み)の源泉』である、というのが数年前までの私の一貫した認識でした。世の中からは見えにくいが、業務プロセスを司る神経系であり、その機能の決定には経営者自らが関与し、経営戦略そのものを反映したシステムということです。ところが、最近になって『デジタル』、『DX推進』という動きがでてきてあたかも今までのITシステムとは別物を構築・活用しなければならないのではという混乱が生じているのです。実は全くそうではなくて、従来のITシステムの流れを加速するのがデジタル、DXであって企業変革の推進力が増強されることを意味しています。不足しているのは、社内、社外に対してその成果、効果を開示する方法・度合いです。今やDXは『見えざる資産』ではなく『公開すべき資産』としてクローズアップすべきです。自らの強みを自信を持って積極的に発信することです。
今回のDXアニュアルレポート2023は、『公開すべき資産』、つまり『大和ハウスグループの強み』をまだ十分表しきれていませんが、今後ブラッシュアップされていくと確信しています。重要なことは、DXの推進が、当社の絶え間のない企業改革の大きな力になっていることを明確に分りやすく世の中に伝えていくことです。私も、その一助になるよう尽力します。