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コラム No.53-22

PREコラム

戦略的な地域活性化の取り組み(22)国家戦略としての農業改革(1)

公開日:2020/02/28

地方における中山間地など過疎地域をみますと、多くの地域で、少子高齢化と人口減少、担い手不足により、主産業である農業が衰退しています。各地で官民挙げて、観光や地域産品の開発・販売による新たな産業の育成に取り組んでいますが、農業そのものに関していえば、今後もこの傾向は続くものと思われます。
一方、農業は食料を安定供給し、地域の自然環境を保全する大切な役割を担っており、労働集約型である現在の農業から、持続可能な産業として、魅力ある新しい農業へと発展させることが重要です。

国家戦略としてビジネス環境を創出する

国内には、各産業における公平公正な競争や国民の安心安全を確保するために、さまざまな規制があります。しかし、時代とともに、一部の規制が産業の発展を妨げている場合もあります。そのような規制を地域で改革する取り組みが、特別区域(特区)制度です。 平成14年(2002年)に始まった構造改革特区は、一旦措置された規制改革事項であれば、全国どの地域でも活用できる制度です。その後、平成23年(2011年)には総合特区が開始され、規制の特例措置に加え、財政支援も含め総合的に支援する制度となりました。そして平成25年(2013年)には、活用できる地域を厳格に限定し、国の成長戦略に資する岩盤規制改革に突破口を開くことを目指した国家戦略特区制度が創設されました。国家戦略特区制度は、大胆な規制・制度改革を実行し、「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的としており、現在、大都市圏を中心に10地域が指定されています。

革新的農業実践特区 ~新潟市国家戦略(ニューフードバレー)特区~

国際戦略特区の中で、農業分野に特化した事業を展開しているのが新潟市です。新潟市は、全国有数のコメどころとして有名で、平成27年農林業センサスによれば、新潟市の水田耕地面積は28,500ha、水稲作付面積22,589ha、水稲収穫量137,000t、農業就業人口15,257人で、ともに全国1位を誇っています。一方で、年間700人が離農しているといわれ、地域農業の担い手不足、耕作放棄地の増加などの課題を抱えています。そこで新潟市は、国に革新的な農業を実践する区域として提案し、平成26年に国家戦略特区として指定を受けました。新潟市国家戦略(ニューフードバレー)特区は、以下のようなビジョンと取り組みを掲げています。

  • ビジョン
  • 食産業No.1都市を目指し、フードデザインをひろめ、新たなネットワークを創り、イノベーションを起こし続けます。
  • ビジョンを達成するための「7つの戦略」
  • (1)フードデザインの普及・実践
    (2)新潟ブランドの構築・情報発信
    (3)域内・外ネットワークの構築
    (4)農商工連携と6次産業化の推進
    (5)食品リサイクルの推進
    (6)高度な研究開発基盤の整備
    (7)高機能・高付加価値開発と人材育成
  • 新潟ニューフードバレープロジェクトPR用パンフレット
    (新潟市経済・国際部産業政策課 ニューフードバレー推進室)より引用

現在、新潟市ニューフードバレー特区には、農機具メーカーやICT企業、食品・流通関連企業などが参入して、規制を超えた農業法人を設立し、ハイテクを駆使することで国内の農業環境に最適化されたスマート農業の実現に向けて、産官学連携による実証実験が展開されています。

スマート農業企業間連携実証プロジェクト

新潟市ニューフードバレー特区では、平成30年より、各企業が有する革新的技術を複数組み合わせ、稲作の省力化や低コスト化、高品質化を実現する実証実験「スマート農業企業間連携実証プロジェクト」が始まっています。
このプロジェクトは、経営する耕地面積が増加することに伴い、耕作地が広域化、分散化し、農地の管理が難しくなった問題を企業間連携で解決するもので、右の3つの視点で推進されています。

  • (1)自動操作が可能なスマート農機(ICT田植機、ICTコンバインなど)を投入し、農作業の省力化、無人化を図る。
  • (2)リモートセンシング機器(ドローンや人工衛星など)などで得られた農作物の生育状態などのデータを可視化することで、耕作地ごとの追肥や収穫適期の診断を支援する。
  • (3)各企業で収集したデータを営農管理システム「アグリノート」に集約し、一元管理することで企業間のデータ連携を可能にし、連携作業を支援するとともに、農業情報の蓄積を図る。

効率の良い農業を行うには、農地を集約して大規模化することが考えられますが、日本の場合は小規模な農家が多く、農業法人等が農地を拡大するにしても、飛び地となってしまうことが多いと思います。このプロジェクトに注目したいのは、そのように分散化した農地で、各企業が連携して省力化、低コスト化、高品質化に向けた実証実験を実施し、客観的なデータに基づく成果を検証する点です。この実証実験で成果が見えれば、日本独自の実効性のあるスマート農業の礎になることが期待できます。 そして、この取り組みが地方においても農業の再生にきっかけを与え、新たな農業の担い手を生み、ひいては地域の活性化に繋がるのであれば、新潟市ニューフードバレー特区の意義は大きいと思います。

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