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コラム No.53-62

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戦略的な地域活性化の取り組み(62)公民連携による国土強靭化の取り組み【24】観光立国として地域活性化を支える、これからのツーリズムを考える

公開日:2023/06/30

観光立国を目指す日本の国内旅行動向

国は、日本における重要な産業の一つとして、また地域振興に有効な取り組みとして、観光立国を目指したツーリズム(観光を含めた旅行全般)戦略を強化しています。一方で、ツーリストの観光目的や求める環境は多様化し、様々なツーリズムが提唱されています。

観光立国を目指す日本の国内旅行動向

コロナ禍による入国規制が2022年10月に緩和され、海外からのインバウンド人口が戻りつつあります。日本政府観光局(JNTO)が2023年5月17日に公表した資料によれば、2023年4月の訪日外客数(推計値)は1,949,100人と、コロナ禍以前の2019年同月比66.6%まで回復しています。国・地域別にみると、中国、ロシアからの訪日数が大きく落ち込んでいるほかは、東南アジアを中心に全世界から訪日している状況が窺えます。さらに、国土交通省観光庁が2023年4月19日に発表した、2023年1-3月期の訪日外国人消費動向調査結果(1次速報)によれば、訪日外国人旅行消費額は2019年同期比11.9%減の1兆146億円、訪日外国人(一般客)1人当たり旅行支出は2019年同期比43.8%増の21万2千円と推計され、2019年同期比の費目別構成比は、宿泊費(28.6%→34.1%)、娯楽等サービス費(4.0%→8.7%)が伸びている一方で、買物代は35.9%→23.8%と縮小傾向となっています。また、2023年5月17日に発表した旅行・観光消費動向調査結果(速報)では、2023年1-3月期の国内旅行消費額は4兆2,331億円(2019年同期比0.5%増)と、復調傾向が見られます。

2023年3月31日に閣議決定された「観光立国推進基本計画(第4次)」では、「観光は成長戦略の柱、地域活性化の切り札」として、「インバウンド消費額5兆円/国内消費額20兆円の早期達成」、「2025年度訪日外国人旅行消費額単価目標20万円/人」を掲げていますが、観光庁等の直近の調査結果は、その目標達成が不可能ではないことを示唆しています。コロナ禍により大きな打撃を受けた観光・旅行事業が回復し拡大を持続できるか否かは、今後の動向と分析を注視する必要がありますが、コロナ規制緩和直後の状況は、順調な復調を予感、期待させるものです。

多様化する観光・旅行事業への期待 ~ニューツーリズム~

一概にツーリズムといっても、その内容(コンテンツ)は多種多様です。東京や京都といった著名な観光地に滞在して周遊する“見聞型”ツーリズムに加えて、近年では目的地での体験や交流を通じて新たな価値を見出すツーリズム(ニューツーリズム)が注目されています。歴史的・文化的な産業や最先端の近代産業をテーマとした「インダストリアルツーリズム(産業観光)」、ダムや橋などの公共インフラを観光資源とした「インフラツーリズム」、スポーツ観戦やスポーツ体験に伴い周辺地の文化を体感する「スポーツツーリズム」、健康回復・増進を目的とした「ヘルスツーリズム」、先進的な医療受診を目的とした「メディカルツーリズム」など、ツーリストの多様化する個別ニーズにテーマを特化したツーリズムの開発が盛んに行われています。また、世界的な環境問題を背景に、自然環境や野生の動植物との触れ合いをテーマとした「エコツーリズム」、農漁村に滞在して自然、文化、人々との交流を楽しむ「グリーンツーリズム」など、着地型、長期滞在型(ロングステイ)ツーリズムも人気を集めています。
ニューツーリズム開発は、観光立国を目指す日本にとって重要な施策であるとともに、世界的なマスツーリズム(観光の大衆化)によって、特定の観光地に観光客が集中し地域住民や環境に悪影響を及ぼすオーバーツーリズムという社会問題の解決策としても、期待されるところです。

サスティナブル(持続可能)なツーリズムの推進

国際観光市場は成長を続けており、2019年時点での世界の国際旅行者数は14億人を超えており、地域経済の活性化や雇用創出に貢献する一方、観光地の自然環境や地域住民の生活に負の影響も与えています。そのことから、国連世界観光機関(UNWTO)が中心となって、サスティナブルツーリズム(持続可能な観光)が提唱され、国際基準である観光指標の策定が進められています。
サスティナブルツーリズムとは、「訪問客、産業、環境、受け入れ地域の需要に適合しつつ、現在と未来の環境、社会文化、経済への影響に十分配慮した観光」と定義されており、推進の背景には、観光産業における「SDGs(持続可能な開発目標)」の目標を達成すること、コロナ禍によって観光地における危機管理体制の確保・充実の必要性が改めて認識されたことにあると言われています。 日本においても、観光庁が2020年6月に「持続可能な観光ガイドライン」を策定し、国際基準に準拠した持続可能な観光産業の育成を推進しています。また「観光立国推進基本計画(第4次)」では、持続可能な観光地域づくり戦略として、全国各地に登録された観光地域づくり法人(DMO:Destination Management/Markething Organization)を司令塔に、地域自治体等の関連機関が連携して、「地域の観光資源を生かし、自然・文化・産業等の本質を味わいながら地域への貢献を実感でき、観光利用と地域資源の保全を両立させる体験等のコンテンツ造成及び地域の経済・社会・環境の持続可能性の向上の好循環の仕組みづくりに取り組む地域を支援する」としています。
旅行客の環境に対する意識も高まっている現在、経済性を追求することに加えて、環境に配慮しツーリストに選ばれる観光地を創造する取り組みが求められています。

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