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コラム No.53-29

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戦略的な地域活性化の取り組み(29)地方による「New Normal」時代の働き方提案(2)

公開日:2020/09/30

「New Normal(新常態)」とは、社会に大きな変化が発生し混乱した後に、平常化に向けた新しい社会活動動向を表す言葉として用いられています。近年でいえば、リーマンショック後の経済活動の変化、東日本大震災後のエネルギーに対する意識の変化などが挙げられます。現在、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした生活様式や勤務形態の変化が「New Normal」社会を創造するのではないかと考えられています。

この半年で半数以上の企業がテレワークを導入し継続する傾向にある

ここで、最近のテレワークに関する調査結果を整理してみます。
まず、内閣府が2020年6月21日に公表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」です。
これによると、テレワーク経験者は、東京圏で48.9%(東京都23区は55.5%)、全国では34.6%です。そのうち、テレワークの継続利用希望は、東京圏で88.5%(東京都23区は91.0%)、全国で85.5%と、テレワークを希望する割合が高いことがわかります。
もう一つ、日本労働組合総連合会が2020年6月30日に公表した「テレワークに関する調査2020」では、全体で72.7%が勤務日の5割以上をテレワーク勤務しているとしており、81.8%が今後もテレワーク勤務を希望しています。

テレワーク勤務はテレワーカーの意識を変化させる

前述の内閣府の調査では、テレワーク経験者の意識の変化について、「生活を重視するようになった」が64.2%、「地方への移住に関心を持つようになった」が24.6%、「職業の選択や副業等の希望が変化した」が46.3%と、いずれもテレワーク未経験者よりも意識の変化が高くなっています。
また、日本労働組合総連合会の「テレワークに関する調査2020」では、テレワークのメリットとしては、「通勤がないため、時間を有効に利用できる」が74.6%と最も多くなっています。一方で、小学生以下の子どもを持つ回答者では、80.9%がテレワーク勤務の困難さを感じるとしており、女性に高い傾向(テレワークに難しさを感じる人の割合は女性75.8%、男性67.7%)があります。
これら二つの調査結果は、テレワークが急速に普及していること、多くのテレワーク経験者が継続利用を望んでいること、テレワーク勤務が「生活」や「働き方」、「居住」に対する意識の変化をもたらすことなどを示唆しています。企業においても、このよう傾向は無視できないこととして、従業員の勤務形態や労務管理などの企業運営の改革を求められるかもしれません。

首都圏における実証実験:テレワーク・デイズの効果

全国的にはあまり認知されていませんでしたが、首都圏を中心に、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会開催時の交通混雑を回避する切り札として、2017年から2020年までの7月に、「テレワーク・デイズ」という取り組みが計画され、 2019年まで実施されました。これは、ロンドン大会で、企業の約8割がテレワークや休暇取得などの対応を行い、市内の混雑を解消した前例を参考にした試みで、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府が主催し、東京都、日本経済団体連合会、日本商工会議所などが共催、2019年には省庁や公共団体、企業等2887団体、約68万人が参加しました。その結果、2019年11月の実施報告によれば、オフィス事務及び残業時間など、すべての指標で大幅な削減効果がみられ、協力団体の60%以上が「業務の生産性向上」と「就労者の生活環境の改善」を成果として認識したとしています。また、参加した従業員の多くが、在宅勤務となったことで「移動時間が短縮された」、「家族とのコミュニケーションが促進された」、「家事・育児等の負担が軽減した」としており、子育て世帯を中心に、家族のライフスタイルや状況に合わせて自身の働き方を柔軟に変えることができることを改めて意識する機会となったとしています。
テレワーク・デイズの狙いは、東京オリンピック大会を機に、日本の働き方改革を定着させていこうというものでしたが、奇しくも、新型コロナウイルス感染拡大によって、2020年にテレワークという働き方が一気に認知されることになりました。
テレワークという働き方は、今後も定着していくことが予測されます。またテレワークは、これまでのライフスタイルにも影響を及ぼすはずです。これまでは通勤に便利な地域が好まれていましたが、今後はそれだけではなく、ニーズは多様化すると思われますし、専業から兼業・副業など多様な雇用形態も派生するでしょう。また、仕事と生活の場所が一致することで、地域や住居の機能性にも変化が生まれるはずです。例えば、コワーキングスペースを併設した集合住宅、サテライトオフィス型のコンパクトなオフィススペース、子育て世帯のテレワーカー向けの育児施設やサービスなどが増加することが考えられます。
このような働き方の変化は、都市部に限らず地方部にも浸透していくはずです。地方に在住しながら都市部の仕事をしつつ、地域の仕事を兼務するなど、地方ならではのライフスタイルが定着していくかもしれません。地方活性化戦略には、今後の「New Normal」を予測する指標として、これから公表される様々な実態調査や事例について、注視する必要がありそうです。

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