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コラム No.53-59

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戦略的な地域活性化の取り組み(59)公民連携による国土強靭化の取り組み【21】鉄道等高架下の多様な活用が、公共空間として新たな街の賑わいを生み出す

公開日:2023/03/31

近年、歩道や道路・鉄道の高架下等公共性の高い未利用地を活用して、地域の再生や街の賑わいを創出する取り組みが各地で進んでいます。

高架下空間の有効利用

全国的に、道路や鉄道の立体化が進むことで、高架下空間が増えています。高架下空間は、鉄道事業者等が地権を有していることになりますが、将来的な路線の改変や線路の維持管理を考慮すると恒久的な事業用地には適さない空間であると言えます。また、面積や形状の制約、交通騒音・振動など、利活用を考える事業者にとっては不利な立地環境であるともいえます。そのため、道路や鉄道に供されない高架下空間は、公共性の高い未利用地でありながら、これまでの利用方法は駐車場や倉庫等が多く、限定的でした。しかし近年、特に市街地においては、線路を連続的に高架化または地下化して踏切を解消し、道路混雑の緩和や分断された市街地の一体化を行う「連続立体交差事業」が増加しており、新たに生まれた空間を公民連携により有効利用し、地域の活性化や街の賑わいづくりに積極的に活用する事例が多くみられるようになりました。子ども向け公園やスポーツ広場などをはじめ、小規模店舗やデザイン工房、スタジオ、宿泊施設、さらには保育施設や福祉施設など、様々な分野で地域の多様なニーズに応える開発が始まっています。このような取り組みにより、地域の賑わいを創出し、街来者による回遊人口が増加がすることで、地域の活性化が期待できます。

高架下空間活用が進められる背景

鉄道等の高架下空間の活用が進んでいる要因としては、まず、少子高齢化が進む中、将来的な利用客の減少が予測されることから、鉄道事業者自体が資源の再利用により新たな価値を創造して、収益を向上させる取り組みを活発化させていることが考えられます。
また、地域自治体においては、立体化事業を地域開発として取り込み、時代の変遷に合わせた地域ニーズへの対応を進め、地域再生を図るねらいもあります。特にコロナ禍のパンデミック以降においては、住民の働き方や地域社会に期待する要件が変わりつつあると思われ、都市に求められる機能や公的サービスが変化しているいることも、その背景にあると考えられます。
国も、2015年に策定した「鉄道沿線まちづくりガイドライン」の中で、「人口減少・高齢化を背景に、都市サービス、都市経営の持続性の低下が懸念されている。このような背景の中では、鉄道沿線を軸に都市機能が集積するという構造を活かしつつ、交通結節点である駅周辺に福祉、子育て支援、買い物等の生活支援機能を誘導するとともに、拠点病院、大規模商業施設、文化ホール等の高次の都市機能については沿線の市町村間で分担・連携し、あわせてサービス向上等によってフィーダー(支線)交通を含む公共交通機能の強化を図る『鉄道沿線まちづくり』に取り組むことが重要。」と述べており、鉄道等に沿ったまちづくりの重要性を謳っています。高架下空間の公民連携による有効活用は、鉄道駅間の都市機能の連続性を保持する新しい地域づくりとも言え、注目すべき事業だと思います。

高架下開発の多様な事例

高架下開発は全国で進められており、多様な事例がみられますが、特に過密化により開発用地が限られている首都圏など都市部で活発になっています。
JR東日本の神田―御茶ノ水駅間に残存していた旧万世橋駅の赤レンガ造りのプラットホームを活用した商業施設「マーチエキュート神田万世橋」、秋葉原―御徒町駅間の高架下をアクセサリーや革製品の工房併設型ショップでつなぐ商業施設「2k540」、東急東横線・東京メトロ日比谷線中目黒駅の高架下を整備し商店街を再生した「中目黒高架下」、京浜急行電鉄京急蒲田駅周辺の連続立体交差事業で生まれた高架下を活用した「ウィングキッチン京急蒲田」などは、新たな名所として多くの来街者を集めています。また、三鷹―立川駅間9kmあまりの高架下を開発し、商業施設や保育園、クリニック、デイサービスなどを整備する計画「中央ラインモール構想」は、本格的な鉄道沿線まちづくりの事例として注目を集めています。
首都圏以外でも、JR西日本が全国で展開している高架下商業施設「ビエラ」、南海電鉄が難波―今宮戎間の高架下を活性化する「なんばEKIKANプロジェクト」など、新ビジネスとして高架下事業を推進する鉄道事業者の動きが活発です。また、阪神電鉄の尼崎センタープール前駅や東京メトロ東西線の西葛西-葛西駅間の高架下に建設した野菜工場など、ユニークな高架下活用事例もあり、今後も高架下開発の動向から目が離せません。

高架下開発は、駅の改修事業や地域再開発に伴って推進される事例が多数みられますが、土地や空間の特性上、多くの場合は所有者単独ではなく事業者へ営業権を付与する形態(いわゆるコンセッション方式)が採られており、多用途活用が可能なことから、公民連携による地域開発の好事例といえるのではないでしょうか。

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