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コラム No.53-72

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戦略的な地域活性化の取り組み(72)公民連携による国土強靭化の取り組み【34】地域格差が拡大する中、多様化する低未利用地の利活用取り組み

公開日:2024/04/26

2024(令和6)年3月26日に「令和6年地価公示」(1月1日時点)が公表されました。全用途(住宅地、宅地見込地、住宅地、商業地、工業地)平均、住宅地、商業地とも地価は3年連続で上昇し、国内地価は上昇基調にあるようです。一方で、下落傾向が続いている地域や都市内においては、低未利用地が増加しており、対応が求められる地域課題となっています。

地価公示から見る地域開発の傾向

「令和6年地価公示」を概観すると、全国の地価は、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)や地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)を中心に、コロナ禍後の人流回復を受けて、地価の回復傾向が続いているようです。地方圏においては、大規模な半導体事業が展開されている熊本県菊陽町、北海道千歳市周辺では大幅な地価上昇となっている一方、主要都市圏から遠隔にある地方部では地価が低迷しており、地域の活性化が順調でない状況が窺えます。特に、半島部など交通利便性の悪い地方部では地価下落傾向が続いており、人口減少の影響を大きく受けていることが推測されます。
そのような中で、北海道富良野市や長野県白馬村の地価上昇が注目されてます。両地域とも、国内有数のスキー場を有し、手つかずの自然が残る観光地として国内外の人気が高まっており、東南アジアや豪州、米国などからのインバウンド需要を積極的に取り込んでいます。このような背景から、ここ数年連続して地価や物価が上昇、新たな雇用を生み出し人口も増加傾向にあり、移住先、別荘地としても需要が高まっていることが推察され、観光産業、リゾート開発が地域活性化を誘発する典型的な事例となっています。
このようにみると、多様な地域資源を活用した地域開発の可能性を感じさせる事象もある傍ら、総じて都市圏への人口集中、地方部の人口減少、過疎化傾向は依然進行しており、地域間格差の拡大が懸念される調査結果となっています。いずれにしても、地価は、地域の用途需給や公的資金、民間投資の投入規模により変動しますので、地価だけで地域開発の動向を判断するのは困難ですが、地域振興・活性化のひとつの指標として、経過を見守る必要がありそうです。

低未利用地の地域課題を考える

都市再開発が進む一方、少子高齢化、人口減少社会にあって、低未利用地の増加も社会問題化しています。国土交通省によれば、低未利用地とは「利用の程度がその周辺の地域における同一の用途若しくはこれに類する用途に供されている土地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる土地」とされ、農地であれば休耕地、工業地であれば工場跡地、商業地であれば空き店舗、住宅地であれば空き家などとなります。国は、低未利用地の利活用促進に向けて、低未利用地の流通を活性化させ新たな投資を呼び込む税制改正を行うなどで、地域活性化に一定の成果を上げています。また、地域自治体では、都市再開発によって市街地のスポンジ化(空き地や空き家がランダムに発生し、多数の小さな穴を持つスポンジのように都市の密度が低下する減少)を解消する動きも活発です。しかしながら、人口減少社会にあっては、人口に比例して住宅や店舗の需要が縮小することでもありますので、市街地再開発で集約した結果、周辺地域の低未利用地を派生させるのではないかといった懸念も生じます。
前述した北海道、熊本県、長野県の事例にみられるように、新たな産業や需要を生み出す地域開発を中心市街地再開発と並行的に推進し、民間投資を呼び込むような施策で需要を分散させることも、地方都市の地域振興、地域活性化には重要ではないでしょうか。

多様なまちなか地産地消事業の可能性

経済や物流のグローバル化、生活スタイルの多様化、食の安心安全、省エネ省ロス指向を背景に、少量多品種生産、現地生産・消費(地産地消)が見直されています。そのような流れの中で、小規模な生産拠点をまちなかで運営する動きも活発化しており、植物工場もそのひとつです。植物工場とは、人工光を使って水耕栽培で無農薬野菜や果実などを栽培する工場で、年間を通して安定的に収穫が可能です。2023年は夏以降の猛暑や雨不足の影響による生育不良で、野菜の価格が高騰しました。今後も気候変動が続くことが予測されますので、地域の需要により品種や生産規模を調整することができることも植物工場の利点の一つです。
加えて植物工場は、大規模施設からコンテナ仕様等の小規模な施設まで対応が可能で、工場とはいえ騒音や廃棄物など近隣への負荷が比較的に小さいことから、まちなかの空き家、空き店舗、空き地といった場所で運営することも可能です。現在、各種製造メーカーや流通業、建設業、鉄道事業者などからの参入が相次いでいますが、スポンジ化した都市の低未利用地を解消し利活用を進める取り組みとして、注目したい事業です。

地域内利害を調整し、地域を用途別に区分し用途規制することは重要ではあると思いますが、許容できる範囲でまちなかに多様な機能を共存させ地域循環を促進する発想も、低未利用地の利活用、地域活性化には有効な手段かもしれません。

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