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コラム No.53-61

PREコラム

戦略的な地域活性化の取り組み(61)公民連携による国土強靭化の取り組み【23】「団地」という社会資産の再活用。少子高齢化対策や人口減少時代に備える

公開日:2023/05/31

現在、首都圏を中心に都市部の再開発が活発化しています。今回は、住宅の安定供給に向けた都市の再開発をPREの観点から見てみたいと思います。

2022年度のマンション(区分所有)市場動向

2023年4月18日、不動産経済研究所が首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県)及び近畿圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県の2府4県)における2022年度の新築分譲マンション市場動向を公表しました。まず話題となったのは、2023年3月における首都圏の新築マンション平均価格が、1億4,360万円と初めて1億円を超え、年間を通した平均価格も6,907万円(m2単価103.9万円)と最高値を更新したことでした。ただしこれは、東京都港区で販売価格が4億円を超える高級マンションが販売されたなどの特殊な状況が影響したものと考えられます。首都圏においては、販売価格高騰によって、販売戸数が2万8,632戸と前期比12.9%減となりましたが、初月契約率は70.7%と高水準にあり、一定購買層における強い需要を感じさせます。エリアとしては、東京23区での販売が37.3%を占めており、都心ブランドは相変わらず根強いことが分かります。
また、過去10年程度の市場動向を見ると、国土交通省が2023年4月28日に公表した不動産価格指数(令和5年1月・令和4年第4四半期分)によれば、2010年を100とした2023年1月度の南関東(1都3県)におけるマンション(区分所有)価格の指数は183.5ポイントと上昇が続いていますが、全国平均189.4ポイントよりは低く、むしろ北海道地方262.5ポイント、東北地方233.5ポイント、九州・沖縄地方220.3ポイントなど、地方部のマンション価格の高騰が目立ちます。

都市周辺部の再開発にも着目

前述のマンション市場動向から推察すると、全国的に都市開発が進んでいることで、都市部の利便性や魅力度、ブランド力が向上する一方、都市部の開発資源(土地)は限られているため、マンション(区分所有)の供給が需要に追い付いていない状況が窺えます。
その一方で、近年話題となっている少子高齢化対策や人口減少時代を念頭に置くと、子育て世代に対する適正価格での住宅供給は重要な課題でしょう。都市部には商業施設も多く交通機関も整備されており利便性に優れていますが、医療・福祉、保育・教育など、特に子育て世代に必要な生活環境が整っているとは言いきれません。むしろ土地に余裕がある都市周辺地域の再開発、再整備に目を向ける必要があるのではないでしょうか。かつて高度経済成長期には、都市人口の急増に対応すべく宅地開発が盛んに行われ、多くの団地が造成されました。それから40年以上を経た団地の大半で、急速な少子高齢化、住宅や施設の老朽化が進み、街としての機能を失いつつあります。都市部再開発と並行して、団地の再生も喫緊の課題だといえるのではないでしょうか。

団地という貴重な社会資産の再生

2022年3月に発行された国土交通省の「団地再生の手引き」によれば、全国には5ha以上の住宅団地が2,903か所整備されており、その7割が戸建住宅団地であり、東京圏では都心から20~40km圏内、大阪圏では20~30km圏内に大半が立地しています。また、住宅団地に居住する人口は約1,964万人(800万世帯)で、日本の総人口・総世帯の約15%を占めています。多くの団地には公園や集会場が整備されており、都市周辺部における良好な住環境を備えた貴重な社会資産といえますが、街開きから40年以上が経過し、その間に若い世代が流失することで、急速に人口が減少し高齢化が進んでいます。そのことから、自治体や団地を開発した公団・UR、民間企業等が連携した団地再生への取り組みが各所で始まっています。 事例としては、空き家や空き店舗、老朽化した施設をリノベーションしたシェアオフィスやコワーキングスペース、雇用創出を意識した店舗や食堂、学童保育施設等の運営などの取り組みが見受けられます。また、地域内移動を支援する小型車両を利用した交通サービス、キッチンカーや移動店舗による生活支援サービスなど、衰退した団地内の生活基盤を再生する取り組みも進められています。
そもそも団地は、分筆・分譲による区分所有の集合であり、用途地域の制限もあるため、団地全体を包括した大規模な再開発が難しい地域ではあります。今後さらに、官民が連携してエリア・マネージメント組織を整備し、現住する高齢者世帯を見守りつつ若い世帯を呼び込み、地域コミュニティ基盤を再生していく、地道で中長期的な施策が必要なようです。

人口減少時代にあって、大規模な住宅地を開拓する経済的な合理性は見出し難いと思います。これまで築いてきた団地という社会資産を活用し、今までにない団地の魅力を醸成することで、持続可能な新たな利益を循環させるような、官民連携による地域再生の取り組みに期待したいと思います。

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