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コラム No.27-77

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 第3回 中小企業のDX化を進めるために必要なものは何か株式会社大塚商会 営業本部 トータルソリューショングループ TSM課 吉見 美智子 × 株式会社フレームワークス 代表取締役社長 秋葉 淳一

公開日:2022/09/30

DX普及のために、補助金の申請をサポート

吉見:2021年、モノプラス様と一緒に神奈川県のロボット実証実験にも参加しましたが、自治体が民間企業のDX化に補助金を出すといった募集もよく拝見します。
DX化と言っても、ロボットや何かシステムを入れたからDXというわけではありません。そもそも持っているデータを集めるとこからやらなければいけないし、ロボットやシステム導入がゴールではありません。民間企業のお客様も補助金の機会はあるが、何を応募すべきか難しい場合もあるかと思います。そういったご相談の際は、例えば元々当社は複合機が強く、紙のデジタル化は得意なので、まずは今ある紙のデータをデータ化するところから、どうDX化していくかをロードマップにするといったお話をすることもあります。

秋葉:あとは、補助金の申請が大変だということが、事実としても、イメージとしてもあるのかもしれませんね。中小企業の方たちからすると、そこの負荷が大きいのでしょう。マンパワーにそれほど余裕がないのに、それを誰かの負荷にできないということでしょうか。

吉見:新しいことにはマンパワーがかかりますから、中小企業のお客様だと特にそうですね。大塚商会は中小企業のお客様も大事にしていますので、補助金関係の申請を手伝う部署があります。補助金が出るとやはり大きいので、各企業が注目していて、コーポレートサイトの問い合わせにも多数寄せられています。例えば、事業再構築補助金やIT導入補助金等があります。

秋葉:どんな補助金があるか把握するだけでも難しいですよね。調べないと分からないし、申請するのも大変です。

吉見:大塚商会には、バックヤードに補助金を調べる専門部隊が地域ごとにいます。県や地区ごとに補助金が違うので、各地区担当が探し社内で公開をします。申請が大変であれば、詳細を中小企業庁などにも確認し、申請の必要事項に漏れがないよう記入の仕方をお客様に説明しております。それでも間違いや記入漏れで採択率が下がることもあり、今は最後に書類作成支援として当社のパートナーである中小企業診断士の方々に有償で支援を頂いております。 「申請をされたらどうですか」とお客様に言うだけでは無く、それ以上に、申請を通すための仕組みをつくっておかないといけません。お客様に寄り添うために「通すためにはどうしたらいいか」という視点でやっています。

秋葉:すごく大事なことですよね。国も自治体も予算を作った以上は使ってほしい。しかし、使いづらい状態にあるのも事実です。さらに予算は年度で切れてしまいます。私たちの仕事は2年、3年かけないとできない仕事が多いので、予算を年度中に使い切るように言われても、設計しているうちに年度が変わってしまうこともあります。そもそも公募が始まって報告を上げるまでの期間が12カ月もありません。その辺は見直してほしいですね。形のあるものを提案するのであれば比較的何とかなりますが、ソフトウェア開発を伴うと非常に困難です。最近は半導体不足もあります。申請が通って、いざ仕入れ始めようと思ったら納期が間に合わないという事態も出てきています。

ビッグデータを活用して営業効率を上げる

秋葉:大塚商会さんにとって、新規ビジネスといっても何でもありではないですよね。

吉見:この部署がつくられた理由の一つが「お客様に寄り添った営業スタイルをつくりたい」なので、お客様が欲しいと言ったら、皆同じ気持ちにはなります。

秋葉:大塚商会さんの商売から離れていったとしても、「お客様が望むならやりましょう」ということですね。

吉見:そうですね。秋葉社長にお世話になっているロボットもそうですし、最近だと災害に強いLPガス発電機もありますし、水循環型ポータブル手洗いスタンドもあります。水循環型手洗いスタンドもあります。これは水を浄化して再利用する製品で、被災地でも役立ちます。コロナ禍の今、手洗いがとても大事です。いろいろなところに設置されていて、都心の商業施設や大手量販店にも導入頂いているケースもあります。秋葉社長がメインでやられている物流も、大塚商会は物流センターを持っていますが、自社での活用事例をご提案することも多く、大塚商会の販売可能範囲を超えることもあります。しかし、大塚商会でやるところではなかったとしても、お客様に歩み寄って一緒に考えます。もちろん工事など資格がないところはできないので、その後のシステムなどを一緒に検討し、導入いただいていることもあります。

秋葉:そのための情報収集はどうされているのですか。

吉見:当社にはウェブ、リアル、コンタクトセンターの3本柱があって、お客様から得る補助金の情報についても、リアルでできることとAIができることがあります。やはりリアルのコンタクト力は強いですね。

秋葉:ウェブ、リアル、コンタクトセンターの3本柱ということですが、どのように情報を整理するのですか。大塚商会データベース的なところに入るのでしょうか。

吉見:当社にはSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)とCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)が一緒になったSPR(Sales Process Re-engineering)という営業支援&顧客管理システムがあります。これは2003年に本格稼働しました。SPRは単なる営業支援システムではなく、基幹システムと連動している点が特徴です。今は登録されている5000万件のデータを分析し、AIでスケジュール調整をかけて、受注確度の高い訪問先を営業に提案しています。

秋葉:まさにビッグデータですね。吉見さんの部署で、そこから新規ビジネスのネタを探すこともあるのでしょうか。

吉見:新規ビジネスは、コールセンターに入ったデータやSPRに入ったデータを分析するより、TSM課の感性で探しています。SPRのデータは過去のものです。そのデータを見て探しても、次のビジネスは分かりません。それでは単なるBI(Business Intelligence:ビジネスの意思決定に関する情報)ですよね。本来はそこに未来予測に関するデータなどがいろいろなものが入ってきて、さらにAIが入ることで、たとえば「過去はこうだったけど、今年はエルニーニョが発生して雪が降る可能性がある。だったらそれに対して何を取り扱って、何を売るべきか」という分析をします。それがAI分析でやる範囲です。

秋葉:DXの本質はまさにそこです。世の中や時代が変わらないのであれば、過去を分析していればいいですよね。

吉見:AIの活用はリアル連携においても大きな役割を果たしています。その大きな成果が、営業先や提案商材を推奨する予定自動登録による「AI商談」です。2020年には従来型の営業手法による受注率よりもAIが推奨した訪問先の受注率の方が約5%高いという結果がでました。秋葉社長がおっしゃっていた、データ分析の世界もクリアしています。

秋葉:そこまでの顧客データが揃っていれば、お客様への提案の幅も広がりそうです。私たちのお客様には本当にいろいろな物流センターがあります。いろいろなセンターというのは、建物というより、いろいろな形状の荷物があるということです。食品もあるし、アパレルもあるし、雑貨もある。人間ばかりでやっているセンターもあるし、自動化機器を入れているセンターもある。
今のお話をうかがえば、大塚商会さんがお付き合いしているお客様の中に、提案のヒントがあるかもしれません。私たちが当たり前にやっていて気づかないこともたくさんあるでしょうし、大塚商会さんのお客様のニーズを拾えていない可能性もあるので、ニーズが分かれば、私たちが物流センターを提供しているお客様や、コンサルティングをしているお客様に対しても提案の幅が広がりそうです。

ウェブメディアで一歩先のビジネスヒントを発信

吉見:新しいことはメディアに出ないとなかなか周知徹底できないので、TSM課では、メディア戦略を強化しているのですが、その一つが「一歩先への道しるべ」というウェブメディアです。大塚商会がスポンサーというかたちで入り、日経BPが運営しています。今よりすごく先ではなく、「一歩先」にある社会課題や「一歩先」を見据えて活動する人や企業、「一歩先」にヒットしそうな商品を幅広く取り上げ、新しいビジネスへのヒントを発信しています。過去のものではなく、一歩先でお客様がどういったものを求めているのか、メディアマーケティングとして取り組んでいます。
たとえば7月5日にアップした記事では、ロボットの弱点に注目して研究されている東京大学の先生にお話しをお聞きしました。人ができることとロボットが苦手なこと、その逆もありますし、人が見ているものとロボットが見ているものは違います。ロボットはガラスの自動ドアに突っ込んでいってしまいます。赤外線だと、透明なガラスの先が見えないからです。いくつかの画像データを組み合わせても、ロボットには普通のカメラでも見えないし、赤外線でも見えません。私たちは、ロボットが行かないようにバーチャルで線を引くことを考えていましたが、どうすれば、自動ドアを感知し、行けるようになるかを研究されているわけです。とてもためになりました。

秋葉:メディア戦略とおっしゃっていたのは、メディアを通じて大塚商会さんの提言や発信をしていくということでしょうか。

吉見:一歩先への道しるべ」には大塚サイドの発信も月に数本は出しますが、基本的に大塚商会が扱っていないもので一歩先の未来のもの、社会課題を解決しそうなものを取り扱っています。6月は、背中に担いだレーザー計測装置が森林内の全立木情報を計測するという特集でした。今後は間伐材を食に変える取り組みや、宇和島市の取り組みなどを掲載する予定です。宇和島市は養殖が盛んです。自治体が市をPRしながら食文化を変えていく、その市としての取り組みを取材します。農業や林業などの第一次産業が見直される時期にもきています。このような本来やらなければいけないところを取材していこうと思っています。是非ご覧になってください。

秋葉:素晴らしい取り組みですね。

DXのベースが整ってきた

秋葉:大塚商会さんはセキュリティについてはいかがですか。

吉見:コロナ禍でウェブ会議やテレワークが主流になり、セキュリティ関連のお問い合わせは大きく伸びました。

秋葉:伸びたのは、お客様の意識が変わったということでしょうか。デジタル化すればするほどセキュリティが重要になりますよね。

吉見:お客様の意識は変わったと思います。
MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)も伸びたので、見えないところの管理という点でもそう思います。データ化されていくということは、それだけ漏洩のリスクが増えるということですから。当社ではサイバー保険も取り扱っていますが、これも増えました。今年の4月に個人情報保護法が改正されたので、そのための対策ということも考えられますね。

秋葉:大塚商会さんが新規ビジネスを考えるとき、デジタル、DXを含めてこの後どうなっていくでしょうか。市場は何を望み、何が求められていくのでしょうか。

吉見:市場でもリアルが戻ってきますが、ひとつの考えとして、これからはウェブメディアやウェブでの販売がより重要となり、その割合はさらに増えていくと思います。動画配信サービスやSNSを使った戦略から、ゆくゆくはメタバースを使ったバーチャル空間での販売が2~3割になり、リアル、ウェブ、メタバースの3つに分かれていくのではないでしょうか。当社の中小企業のお客様はリアルで進んでいくと思いますが、ターゲット層ごとに変えていくことが戦略的に当たり前になるでしょう。 ビジネスは自社の強みを生かし、強みを生かしたビジネスモデルの転換もひとつの策と考えます。また新規ビジネスの創発も重要と考えます。なおかつ、プラットフォームをどうつくるか、課金をどうするか、サポートをどうするかをクリアすることができれば、ウェブの世界もメタバースの世界もワールドワイドですから、市場はさらに変わっていくと思っています。

秋葉:私もそう思います。ミックスドリアリティ(MR Mixed Reality:現実世界と仮想世界の両方を同時に体験できる技術)だったり、仮想現実的な世界の中にアバターがいる。そのような技術、環境を、人間は使いこなし、それが当たり前になっていく。サイバーの世界には日本という境界はありませんから、買い物の自由です。決済手段としてもう一度仮想通貨が注目されるのではないでしょうか。為替の影響を受けるのも、現実世界では仕方ないことであっても、バーチャルの世界では起こりえません。

吉見:すでに未来ではなく、一歩先の話ですね。

秋葉:私の本業である物流の観点から見ても、その効果は大きいです。伝言ゲームで上がってきたデータではなく、消費者のデータがダイレクトに分かるので、物流サイドは非常に楽になります。 効率を上げ、ムダを無くすだけではなく、仕組みを変えていく変革者として、大塚商会さんの活躍の場はますます広がっていくと思いますので、これからも、日本の経済を引っ張っていく存在として期待しています。

過去のトークセッション

土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス会長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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